準備
転生したら兵士だったの2巻の発売が決定致しました。
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「来たか」
パトリックが、エルビスに連れてこられたクスナッツを見てそう言った。
「はいお館様! お呼びにより参上致しました!」
と、踵を揃えて敬礼するクスナッツ。
「うむ! では辞令を言い渡す! クスナッツ、貴様に本邸警備隊監視部主任を命ずる! 今後も任務に励むように!」
と、言い渡したパトリックに、
「はい閣下! 今後も全力で任務に当たります!」
と、大声で返事したクスナッツ。
「よし! しっかりと励めよ!」
「勿論でございます!」
とのやりとりの後、エルビスと部屋を出たクスナッツは、
「で? 本邸警備隊まではわかりますが、監視部って何です? 主任って?」
と、エルビスに尋ねる。
「監視部は、今日新設された部署で、本邸周りの監視をする者達が、所属する部署の事だ! ほかにも警備部や設備部などがある」
「新設ですか? で、主任ってのは?」
「主に仕事を任される人ってのを、縮めて主任と呼ぶらしい。ようは部の長の事だ。監視部、つまり見張り系は、全てお前が管理しろってことだ」
「ええ⁉︎ 今まで隊長がしてたじゃないですか! 何でまた? てか、私はまだまだ新参者ですよ?」
と、声が大きくなるクスナッツ。
「今まで全部俺がしてたが、人が増えすぎてもう限界だ! 領地の治安に屋敷の警備、新兵の訓練。やることが山盛りだ! なので部署毎に責任者作って、任せる事にした! お前は面倒見が良いし、同僚とも上手くやってるから、俺が推薦した。良かったな! 出世だぞ!」
と、少し本音を漏らしながらエルビスが言った。
「ありがたいですけど、良いのかなぁ?」
「大丈夫だ! お館様の決定に逆らうやつは、ウチには居ない!」
「そりゃま確かに!」
そんな話をしながら、屋敷で働く兵達に、各主任の事を告知していくのだった。
数日後、
「エルビス、その後、主任にしたやつ達はどんな感じだ?」
パトリックがエルビスに問うと、
「皆、手探り状態ですが、けっこう良い感じかと。特にクスナッツは、元スラムのボスだけあって、人の心を掴むのが上手いですね。部下に飯や酒奢って、酒の場での本音の意見を聞いて、改善したりしてます。それに最初から、無限ランニングをやり遂げた根性もあるし、もう少し様子見してからですけど、本邸の警備隊を全て任せても大丈夫かもしれません」
と、エルビスがパトリックに報告する。
「それならその方向で頼む。お前には帝国との戦で頑張って貰わないといかんのでな。領地の治安や屋敷の警備は、早めに他の者に責任者を移行してしまいたい」
「領兵達、特に新兵を鍛えておきませんとね」
「ああ、帝国の奴らがどれくらいの規模で来るのか分からんからな」
「はい、西方面軍と連携して準備しておりますが、やり過ぎてダメって事はないので、やれる事はしておきます」
「ああ、予備の武器や食糧、ポーションなど、金で解決できるものは全て任せろ。お前は人材の方を頼む」
そう言ったパトリックに、
「頼まれました!」
少し笑ってエルビスが答えた。