プーとペーの鎧
お待たせしてしまい申し訳ない。
ようやく出版社から頼まれた作業が、一旦終わりました。
書籍の表紙や挿絵、見てもらえたでしょうか?
白味噌様の描く、パトリックの冷たい眼がカッコ良かった^ - ^
内容も少し変えたり、追加エピソードがあったり、書き下ろしがあったりと、頑張ってみました。
買って頂いた読者様に、お礼申し上げます。
え? 買ってない? 買ってください! よろしくお願いします。^ - ^
王都のスネークス邸の執務室、主の机の横に、もう一つ小振りな机がある。
そこに座る、1人の女性。
「デザインはこれでいいかな? あとは素材を選んでと……」
座っているソーナリスが、ブツブツ呟いている。
その時、執務室のドアが開き、部屋の主が入室して歩み寄って来て、
「それ何?」
と、パトリックが机の上の物を、見てソナに問いかける。
「プーとペーの鎧だよ。ほら野生と見分けるための!」
と、デザイン画を描いている紙を見せるソナ。
「ああ、プーとペーがワイバーンの時に砦で言ってたやつね、どんな感じ?」
デザイン画を覗き込むパトリック。
「ここがこうなって、ここは革で、コッチは赤色の布で……」
と、図面を指差して説明するソーナリス。
「ここ、プーとペーの視界の邪魔にならないかな?」
「そう? じゃあこんな風に変える?」
図面の横の空白に、新たに顔の部分を描きだすソーナリス。
それを見たパトリックは、
「お! それ良いじゃない!」
と、ソーナリスに声をかける。
パトリックとソーナリスはその後、アレやコレやとアイデアを出し合い、夕食まで話が続いた。
1ヶ月後、スネークス領のスネークス邸で、プーとペーに話しかけながら、ソーナリス作の鎧を装着させる、パトリックとソーナリス。
「で、出来上がったのがコレですか……」
鎧を装着させられたプーとペーを見て、ミルコが少し呆れて言った。
「かっこいいじゃないですか! 昔読んだ本の挿絵とは違いますけど、竜騎士って感じ出てます!」
と言ったのは、非番なのに噂を聞きつけて、わざわざ見にきたクスナッツ。
頭に革のマスク被せられ、そこから手綱が伸びている。背中には、多少の荷物が入る籠付きの鞍があり、その鞍を固定する革紐が、両腕と両脚の付け根に固定される。
そして、その革紐にボタンで固定された、真紅に染め上げられた布が腹部を覆い、そこに大きなスネークス家の家紋。
脚部には、革と薄い金属の脛当て。
パトリックは、クスナッツの言葉で、日本で観た映画を思い出していた。
竜に乗った竜騎士の物語を。
その物語の竜騎士は、長いランスを持って戦っていたのを思い出した。
「ソナ、プーに乗って戦う時用の武器は?」
と聞くと、
「そんなの必要? 空中戦とか無いと思うけど?」
と返されて、
「野生のワイバーンと戦うかもしれないじゃないか!」
と返すと、
「なるほどね。でもプーやペーの邪魔にならない武器でとなると、剣や槍は無理よ? 長くしないと敵にも当たらないけど、重過ぎてその長さだと持てないもの」
と、冷静に言われる。
「いや、様式美的にも、ランスを持ちたい!」
と、パトリックがわがままを言うと、
「パットがそう言うなら、作ってもいいけど……」
と、しぶしぶ了承するソーナリス。
「やったぁ!」
珍しく喜んだ顔のパトリックが、両手を挙げて喜んだ。