新兵
お待たせ致しております。書籍化作業ってこんなに大変なのかと、実感しております。
後書きにて、お知らせが有ります。
ぴーちゃんとポーとその兄弟達を領地に残し、パトリックは王都に戻る。
8軍と2軍の新兵の訓練の視察に向かう。
大勢の新兵の中に、見知った顔を見つけたパトリック。
「あれ? ケビン君じゃない?」
声をかけたパトリックに、
「はいっ! スネークス中将! ケビン・ディクソン軍曹であります! 8軍に配属されました! よろしくお願いします!」
元気いっぱいで敬礼しながら言う、ケビン・ディクソン。
「うむ! しっかり勤務するように! ところで誰の部隊になった?」
「アーレン・カナーン軍曹の部隊であります!」
カナーン家の三男のアーレンも去年入隊して、8軍に居る。
「そりゃまたやりにくそうだな」
パトリックがそう言うと、
「多少はありますが、大丈夫です」
ケビンが答える。
何故やりにくいか?
それは、ケビン・ディクソンは、アーレンの姉であるアイシャと婚約したからだ。
噂によるとアイシャに押し倒されて、既成事実を作られ、婚約となったらしい。
貴族の子女としては異例の事だ。
カナーン家の緩さと、ディクソン家の真面目さゆえか。
肉食系女子と、草食系男子の典型だろうか。
ちなみにアイシャは、驚くほど痩せた。
カナーン家の女性らしくないが、それだけ本気でケビン君を落とすために努力したのだろう。
自分の妻になる予定の女性の弟が先任という、なんとも微妙な立ち位置である。
「よし! それじゃあ今日は、俺が直々に新兵訓練してやろう!」
パトリックが唐突に言うと、
「おい! 新兵を殺す気か?」
と、横からウェインが口を挟んでくる。
「なんでだよ!」
パトリックが、ウェインに文句を言うと、
「まだ、新兵は体力的についていけないと思うぞ?」
「基礎訓練は終わってるんだろ?」
「基礎訓練はあくまでも普通の範囲だ! お前の訓練に合わせてない!」
「なら、自分の限界を知る良い機会じゃないか」
「知る前に倒れるって!」
「大丈夫だろ。それに先輩たちの凄さを、身をもって知る事にもなるしな! よし! 8軍名物フル装備ランニングするぞ!」
聞く耳持たないパトリック。
その後、訓練所に響く8軍の新兵達の悲痛な声と、倒れる新兵を救護するベテラン達。
ランニングが終わった後で倒れている8軍新兵達を見て、
「8軍配属じゃなくて良かった……」
と、余計な事を言った2軍の新兵。
気配を消して歩いていたパトリックは、それを聞いて、
「なら明日、お前たちにも体験して貰おう」
と、笑いながら言い放った。
突然現れたパトリックに、飛び跳ねて驚いた2軍の新兵達。
翌日、2軍のフル装備ランニングを、笑いながら実行するパトリック。
「死神パトリックって、軍内部から言われだしたんですってね……実感しましたよ。てっきりぴーちゃん様を見た平民からだと思ってました……」
ケビンの言葉に、
「パット兄は、昔はあんなじゃなかったんだけどなぁ。軍の厳しさで変わってしまったのかな? だが、あの体力あってこその出世だしな! 俺も最初は死ぬかと思ったぞ」
と言いながら、前日のランニングで筋肉痛の身体に鞭打ち、ケビンとアーレンは、倒れてる2軍の新兵を肩に担いで、休憩所まで運ぶのだった。
6月15日発売予定の書籍ですが、本屋によっては本を買ったら店舗購入特典の書き下ろしショートストーリーがつく予定です。詳しくは書店かアース・スターノベルのHPで確認してみて下さい。
なお、このショートストーリー制作で苦しみ中ですwww
なので、連載のほう、もう少し待って下さいね。