表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
234/316

拉致?

遅くなりました。

パトリック達はスネークス領に戻って来た。


「お館様〜おかえりなさいませ〜」


屋敷の見張り台の上から声が聞こえる。


見上げたパトリックの眼に映るのは、スネークス辺境伯家の兵装姿のクスナッツ。


「おう! なかなか似合うじゃないかクスナッツ。しっかり見張れよ!」

パトリックが叫ぶと、


「勿論でございます〜!」

と敬礼しながらクスナッツが答えた。


「サボったらまた固定するからな!」

と悪い笑みを浮かべてパトリックが言うと即座に、


「それは勘弁してくだせぇ〜!」

クスナッツの悲壮な叫びに、手をあげて返事したパトリックは屋敷の中に入る。


屋敷に入って執事のサンティノにダークエルフ2人を雇う事を伝えると、


「雇うのは構いませんが、その意図は?」

と聞かれ、


「ウチ、エルフや獣人は雇ってるけど、ダークエルフはいないだろ?」


「はい。そもそも少数民族ですので」


「ウチは人種差別はしないとアピールするのに良いじゃないか。実力主義のスネークスと、良い宣伝になる」


「まあ確かに」


「あと、あの森でほっておくと、確実に軍務の邪魔になるからな。あそこは水場もあるし、潜むのに最適だ」


「なるほど。で、仕事はメイドと掃除係でよろしいのでしょうか?」


「別になんでもいいが、やれる事を聞き取りしてから仕事を振ってくれ。その辺は任せる」


「承知致しました」

サンティノが頭を下げる。


その後、執務室に向かおうとすると、いきなり全身に巻きつく柔らかいスベスベした鱗。


「お、ぴーちゃんただいま! って、ちょい待ち! どこ連れてくの⁉︎」

巻きつかれたまま拉致されるパトリック。


廊下に響くパトリックの声に、使用人たちの顔には、苦笑いが浮かぶ。


連れて行かれた先には大量の卵。


「あ、もしかしてそろそろ?」

ぴーちゃんに尋ねると、激しく頭を縦に振るぴーちゃん。


「おい!誰かいるか?」

パトリックが声を上げると、


「はい! お館様。何か?」

と、パトリックの使役獣の世話係が走ってくる。


以前、クスナッツにぴーちゃんを見せた男だ。

名をガルスという、ゴリマッチョなスキンヘッドの悪人顔だ。


「卵から産まれそうだから、大量に肉持ってこい! 適度な大きさに切ってな!」


「了解致しました〜!」

ガルスが慌てて走り去る。


その後、コマ切れ肉を大量に持ってきたガルスを労い、卵を見つめるパトリック。


卵1つに切れ目が入ると、次々と切れ目が入りだす。殻からニョキっと出てくる小さなワニ、もとい水竜の可愛いこと。


だがまあ、産まれるわ産まれるわウジャウジャと。

灰色の鱗を纏った黒い眼をした水竜達がワラワラ歩き出す。


唯一その中で見分けがつく水竜が1匹。

ほんのり黄色いクリーム色と表現すべき鱗を纏い、紅い眼をした、1匹の水竜。


「アルビノってやつか、この子だけ見分けつくな、よし! お前はポーちゃんだ!」


40センチくらいのワニ、もとい水竜を持ち上げて頭を撫でながら肉をあげるパトリック。


もちろん他の水竜にも餌をあげているが、ポーと名付けた水竜にだけ餌が多めなのは気のせいだろうか?


以後、水竜達はパトリックが見分けがつくようになるまでの暫くの間、ポーの兄弟と呼ばれる事になる。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 水竜のポーちゃん、ポークですか? 美味しいですか? 感想850件目もーらい! (´°v°)/んぴッ
[一言] ポーの兄弟は将来的にポーの一族!ピーちゃんの名前はここに繋ぐための伏線だったのか…
[一言] これがスネークス家水軍の誕生である・・・
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ