表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
204/316

人類初 後編

翌日、昼過ぎにパトリックはソナと一緒に馬車に乗り込む。


なお、デコースの名誉のために、あの事は報告しないと2人で心に決めたのだった。


先ず王都カナーン子爵家に向かう。


「やぁ、パット。と、ソーナリス夫人」


「挨拶とかいいから早く行くよ。乗って乗って!」


「ああ、わかった」

と、デコースがスネークス家の馬車に乗る。


「で、この後の予定は?」

デコースがパトリックに聞く。


「朝1番にウチの使いが王城に、緊急の報告有り、王家派貴族を集められるだけ集めるべし、と報告してある。王都に居る貴族の大半は揃うと思う。そこでデコース兄に魔法を使ってもらう。理由はわからないけど、なんか使えたんだよね、テヘペロって事にして、人族でも魔法が使える者が居る事実を公表し、他にも居ないか探してもらう。まあ、戦力に数える事になると思うけどさ」


「てへぺろが何かよく分からんのだが、まあ人族で魔法が使えたらそうなるよなぁ。エルフやドワーフは、魔法を戦争に使いたがらないからなぁ」


「彼らの信仰する神に背く行為なんだってさ、防衛と狩り以外では使わないらしいよ」


「食べる為ならいいのか。神の怒りには、触れたく無いもんなぁ」

と会話しながら馬車はゆっくり王城に向かう。


♦︎♢♦︎♢


「急な要請に応えて頂き、ありがとうございます陛下」


パトリックが王を前に膝をつき挨拶をする。


「お父様、お久しぶり!」

と、軽い挨拶をするソーナリス。


「うむ、久しぶりって、嫁いでまだ3日だろうが。ソナは軽い感じで来おってからに。ワシのあの時の涙を返せ。で、パトリックよ、王家派を集めろとは何があった? そこに控えるデコース・カナーンと関係がある事か?」


「はい、陛下。人族にとって重要な発見がありまして、急ぎ報告をと思いまして。実は…」


♦︎♢♦︎♢


「なんと! 真か⁉︎ デコース・カナーン!」

驚いた王がデコースに向かって声を荒げる。


「はい、陛下。とりあえずこの場では大きなモノは無理ですので、これを。我が人差し指に小さき炎よ灯れ」

デコースそう言って、指先に小さな火を灯す。


「おおおおおおっっっ‼︎‼︎ 本当だ‼︎ 人族が! 人族が魔法を‼︎ 素晴らしい‼︎」


「陛下、人族は使えないと長く試す事すらしなくなりましたが、使える者が他にも僅かにでも居る可能性が出てきました。国中で探してみる価値があるかと」


「うむ! 人族ならばこの力を国防に使える。大発見だ!」


♦︎♢♦︎♢


その日の午後、王城の中庭には、多くの貴族が集まっているし、軍の重鎮も来ている。

視線の中心に居るのは、パトリックの横に立つデコース・カナーン。

先程、王とパトリックより説明は終わっている。

今は的となる板が用意されている最中である。


「準備が終わりました、陛下!」


「ご苦労! ではデコース・カナーンよ、皆に見せてやってくれ」


「はっ! では! 我が掌より射出せよ! ファイアボール!」


チュッドーーンッ‼︎‼︎


「「「おおおおおおおおっっ‼︎ 本当だったあああ!」」」


「人族にも魔法がっ!」


「これは戦が変わるぞ!」


「娘の嫁ぎ先が魔法使いぃぃい! 凄い!」


「正式な婚約はまだでしょうに」


「うちの娘はすでに嫁ぐ気だから問題無い! なんなら明日にでも正式な婚約をさせる!」

途中、サイモン大将とスネークス中将の会話が混じる。


「いや、どれくらいの数を見つけられるかで変わってくるぞ!」


「とりあえず領地をくまなく探さねば!」


「皆の者、静まれ!」

王の言葉に、その場が静かになると、


「今見て貰った通り、人族にも魔法を使える者が居る事が証明された。威力や数はドワーフの魔法使いよりは低いようだが、充分な殺傷能力がある。後は皆が思う通り、国中を調査して貰う。他に使える者がいたなら、大きな戦力である。そして、現時点で唯一、魔法が使える事が分かっているデコース・カナーンには、王宮近衛騎士団を除してもらい、新たに〈王宮魔術師〉の任に就いて貰う事とする」


この日、メンタル王国に、新たな歴史が刻まれた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 俗に言う非モテでもDT貫けば30歳から勝ち組かー……男性の晩婚化待ったなしですね。 歳重ねることで某スライムになるやつのように、賢者や大賢者にはなれませんか?
2020/05/21 12:04 退会済み
管理
[一言] 夜のお楽しみくらいしか普遍的な娯楽がない世界での資格者。 つまり見た目が微妙 or 性格、家庭内事情があれ。 これらのことにより後々。 「不細工で内面的魅力に欠ける」が魔法使いの素質とか言う…
[一言] 果たして娯楽の少ないであろうこの世界でどれ程30歳DTが居るのか・・・取りあえず不細工には魔法使いの才能がある可能性が高い!とかなって結果新たな魔法使いさんが減りそうw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ