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侯爵領への道
ディクソン侯爵領への道は、大した問題もなく進んだ。
荷馬車を一台空けて、3人を乗せ、他の荷物を残りの馬車になんとか押し込み、途中出てきたゴブリン、ビックボア、オーク、グリーンベアを斬り伏せながら。
「流石王国軍ですね。オークやグリーンベアが瞬殺とは」
10歳の少年の瞳に、尊敬の光が見え隠れする。
パトリックは、
「うちのウェインはかなりの使い手ですから!」
と言い、
「確かにウェイン殿は凄かったですなぁ!(いやいや、ウェイン殿の影で、貴方も同じくらいの数、倒してましたよね?)」
と、カルロスは言う。
「うちの中隊長や小隊長は強いですから!(特に中隊長は!)」
と、馬車を操る兵が言う。
「伝令! 先頭の馬車から、前方に大規模部隊発見との事!」
兵が伝える。
「数は?」
「百は超えるかと!」
「盗賊か⁉︎」
「いえ、なにやら旗が見えるとの事です!」
「旗? ふむ、そう言うことか。全部隊停止! おそらく侯爵閣下の兵だ! こちらも軍旗を上げろ!」
「ですよね?」パトリックがカルロスに聞く。
「拉致されて2日。まず間違いないでしょうな。流石です」




