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吹き飛ぶ

 何匹のオークを切ったかも覚えていない。

まだ後頭部がズキズキする。


地面に横たわるオークの死骸と、仲間の亡骸。

ようやくこの集団のオークがほぼ殲滅できたかという時、奥のほうから、今までのオークの倍はあろうか、およそ3メートルほどの身長、力士の様な体形、他にはどこで拾ったのか、木こりが持つような斧。


「オークキング…」

誰かが呟く。

「弓兵っ! 奴に向かって矢を射て!」

この隊の隊長が叫ぶ。

弓兵達が慌てて矢をつがえ、放つ。

矢はオークキングに届くのだが、刺さることは無かった。

「う、嘘だろっ! どんだけ堅いんだよ」

誰かが力なく呟く。

「くっ、来るぞ! 全員迎え撃て!」

オークキングがゆっくり、しかし確かな足取りでこちらに歩いてくる。

斧を頭上に振り上げて、とある兵士の頭に振り落とす。

兵士は剣で斧を受ける。

が、剣ごと頭まで斧が振り落とされ、兵士の頭はザクロのように割れた。

それからここは地獄なのかと思う光景だった。

1人、また1人と仲間の命が散っていく。

「目だ! 奴の目を狙え!」

隊長の言葉に、弓兵や槍兵が狙うのだが、高さもあるし、何より動くので当たらない。


「な、何か無いかっ?」

俺は独り言のような事を言いながら周りを見渡し、ある物に目をつける。

すでに倒れた、一回り大きなオークの手に握られたままの斧。

駆けつけて斧を手に取り、オークの背後にこっそりと回り込む。

(頼むから、アキレス腱は固くありませんように!)

ゴルフスイングでオークキングの左足首目掛けて、フルスイング!


「グアッッ!」

オークキングが初めて痛みの声を上げ、左膝を地面に落とす!

「やったぁ!」

思わず声が出る。

「パットッ、逃げろ!」

ウェインが叫ぶ。

気がつくとオークキングが苦し紛れで振り回した斧が俺の横腹の直前まできていた。

(後ろに! は、無理だ、ここは前にっ!)

一瞬の思考で、オークキング目掛けて突進する。

斧の刃ではなく柄が、俺の横腹に激しくめり込む。

吹き飛ぶ俺、仲間の槍がオークキングの目に刺さる。

俺は気を失った。



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― 新着の感想 ―
[一言] 一話一話が単説で内容が濃いため更新を楽しみにしながら読ませて頂いています。 引き続き更新を頑張って下さい。
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