告白
いつもより少し長いですが、キリの良いところまで書きました。
さて王都に戻る道中の会話であるが、
「よし! ウェイン! 暇だからパトリック狩りをやるぞ」
帰り道の退屈さに嫌気がさしたパトリックだったのだが、
「いや、言ってる事の意味が分からないのだが?」
「だから、暇だからパトリック狩りを…」
「いや、だから暇だと何故パトリック狩りになるんだ? しかもどうせ動かないで隠れてるんだろう? なら暇なのは変わらないのでは?」
「ああ、じゃあ俺が狩る側に回るわ」
「いや、それはそれで怪我人出るからやめろ」
「え〜、なんで怪我人出るんだよ。暇なんだよ〜」
「お前が突然現れると、驚いた兵士が飛び退くだろ? 倒れたらぐらいならいいけど、そこが崖だったりすると危ないし、足首捻ったりなんか普通にあり得る、それに俺は早く家に帰りたいんだよ!」
「惚気かよっ!」
「いや、それにお前もそろそろ帰って準備始めないと間に合わないぞ?」
「ん? なにが?」
「お前の結婚式だよ!」
そう、もう数ヶ月後に迫っていたのだ。
王都に戻ってからは準備に追われるパトリック。
領地からあらゆる酒を運び込み、屋敷も急ピッチで建て増し工事が進む。
そして、あらゆる準備を終えて、明日が式となる前日、王城のソーナリスの部屋で、ミルコや侍女のアメリアを下がらせて2人で話をしている。
「ソーナリス殿下、いや、もうソナと呼びましょうか」
パトリックが言い始める。
「はい! パトリック様、私も変えた方がよろしいでしょうか?」
元気いっぱいに頷くソーナリス。
「そうですね。夫に様も無いですしね、パトリックでも、パットでも、そう…仁でも…」
ソーナリスをしっかり見つめて話すと、
「ええっ!?」
と、口を押さえて驚くが、
「気がついていないとでも思ったか?」
「せっかく黙ってて、新しく仁との恋愛を楽しみ直そうと思ってたのに…私、なにが不味かった? 何で気がついた?」
「そうだな、まず転生者ってのは、君の服装から。セーラー服や美少女戦隊の服着ちゃダメだよ、モロバレだよ」
「だって着たかったから」
「まあ細かいことを言うなら、ドロップキックと言いかけたり、死神のイメージは髑髏と言ったり」
「え? 死神のイメージは髑髏でしょ?」
「いや、この世界の死神は骨の竜らしいぞ!」
「ええ⁉︎ 知らなかった…」
「次に君だと思ったのは、俺の服とかを作るために採寸しただろう?」
「あの時、何かミスしてた?」
「俺の首や耳の裏、脇の匂いをクンクン嗅いでただろ。お前は昔からそこの匂いばかり嗅いでたからな!」
「あ!」
「さて、まあそんなこんなで気がついていた訳だが、また俺と結ばれるつもりで良いんだな? テレーサ?」
テレーサと呼ばれたソーナリスはパトリックに抱きつく。
「はい! 貴方が私を庇って死んだあの時、私はもう誰も愛さないと決めたの。貴方を撃ったあの男は、パパに捕まえて貰って、私が射殺しておいたわ。そのあと貴方の生まれ育った日本に渡って、白人コスプレイヤーとしてかなり人気出たのよ! 言い寄ってくる人も多かったけど皆んな振って、ひたすらコスプレして楽しんでたんだけど、4年たった頃に病気でね。まあ、仕方ないわね。で、死んだと思ったら変な女神が現れてさ、こう言ったのよ。"貴方に会いたいか?” って」
「俺に?」
「うん、私は即答したわ。会えるのなら会いたいし、会うためなら何でもすると! そしたら、別の世界に行って、ファッションを変えてくれって頼まれたの! もちろん2つ返事でオッケーしたわよ!」
「神か…俺は会ってないんだよなぁ」
「そうなの?」
「ああ、というか、15歳になるまで、仁の記憶も無かったからな」
「そうなんだ…」
「まあ良い、ならばまた俺と暮らしていくって事で良いんだな?」
「もちろん! 今世では貴方の子を産んであげる!」
「俺の子か…親になれるのかなぁ。親の愛情を知らない俺が…」
「大丈夫。私に向けてくれた愛を子にも注いでくれるならば!」
「ふむ、それなら出来る」
「うん!」
「じゃあ改めてよろしくな。あ、呼び方はどうする?」
「ここで仁とかおかしいし、この世界の名前で良いんじゃない?ソナとパットで」
「そうだな。生まれ変わった訳だしな」
「うん!」
そう言って顔を上向きにして目を閉じるテレーサ、もといソーナリス。
パトリックは、そっと唇を合わせるのだった。
さて、この話どうでした?皆さんの予想通りでしたでしょうか?
これからも応援よろしくお願いします。