表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
192/316

軍事行進7

だが、睨んだはずの対象が居ない。


ワイバーンが首をキョロキョロと振る。


ミルコは驚いていた。

今まで認識していたパトリックを途中で見失った事は無かった。

見つけるまでが難しかったが、見つけてからは見続けさえすれば良かったのだ。


だが、今はどうか!

先程の殺気。

その刹那から見失ってしまった。目を離した訳ではないのに!

(なぜだ! 私がお館様を見失う? そんなバカな! 先程の殺気はワイバーンはどころか、この場の兵士全員が感じたはず。なのに姿が確認出来ない!)

と戸惑っていた時、ワイバーンの左側の翼がビリッと音を立てて裂けた。


「やった!」


と、声を上げたパトリックをミルコが確認した。

手に持っているはずの鉈剣が無い。


ワイバーンが高度を落として地面に着地すると、パトリック目掛けて走り寄る。

パトリックは右腰から刀を抜いた。

ワイバーンが右の翼をパトリック目掛けて振り下ろすが、後ろに後退して避けたパトリック。

ワイバーンが一歩前進して、パトリックとの距離を縮める。

パトリックはまた後退する。

ただ後ろに下がるだけでは無く、殺気を纏い前進すると見せかけた後に後退する。

ワイバーンは殺気を向けてくるパトリックに集中する。

それは少しづつ、


だが確実に近づいていた。


そして、


「今だ! 放てぇえええ!」


パトリックの叫びに応えるようにバリスタから曲がった矢が飛ぶ。


ワイバーンの右の翼の付け根に命中した矢は、そのまま突き抜けていった。

飛び散る血液を浴びながら、パトリックがワイバーンに迫る。

立っているワイバーンの背後に周りこみ、細い両足を刀で斬りつけた。

切断には至らぬものの、もはや立っていることが出来なくなったワイバーンは、地面をのたうちまわり、長い首を振り回す。


「ミルコ。槍を貸せ」

パトリックの言葉に、ミルコは自分の槍をパトリックの方にそっと投げた。

パトリックは槍を掴むと、そのまま勢いに任せて槍をワイバーンの胴体に投げつける。

首を振り回していたワイバーンだが、胴体はほぼ動いていなかったので、首の根元にグッサリと刺さった。


ワイバーンの首が一瞬硬直し、ゆっくり地面に落ちた。まるで枯れ葉が落ちるように。

ドスンと落ちた頭、口から血が流れ出る。

少し震えている口が、まだ生きている事を訴える。


パトリックがゆっくり歩いて刀をワイバーンの首に当て、音もなく手前に引くと、ポロリと頭が首から離れた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 殺気と気配消しを戦闘中に切り替え? なんつー技を会得したんだ。
[一言] 中将閣下の戦働きが異常というご意見もあるかもしれませんが 893の出入りで命(たま)の取り合いに慣れていると考えれば 十分に通常営業と言えます 大物相手であることが異世界補正入ってますがそれ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ