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軍事行進1

王都はこの頃とても賑やかである。

理由は軍事行進が近いからだ。


何故近いと賑やかなのか?


まず人が増える。各方面軍より、応援が来るからなのだが、来る理由は王都軍が一時とはいえ、王都の外に出て行くからである。


王都軍は、他の方面軍と違い、王都軍第1〜3軍で構成されていたが、その当時で兵員の総数が10000人と、王宮近衛騎士団500人の10500人で構成されていた。


王宮近衛騎士団の500人は、基本は王宮に居るわけだが、他の王都軍は方面軍なら砦を使用している代わりに、王城の横にある軍の施設を使用しているのだが、すべての王都軍がそこを使うわけだ。


そうすると施設の維持などは、三軍分を纏めてしまえるので、施設維持や事務仕事系と、方面軍と王都を行き来する伝令の兵で、約1000人が働いている。

まあ、食事や兵舎のほうは、軍属に委託しているので、数えてはいない。


残り9000人を3で割って、ひとつの軍が3000人で、内訳は前線で戦う兵士が2000と後方支援の馬車隊やその護衛兵が1000人ほどとなる。


そこに第8軍が新たに追加された時、300人が異動で引き抜かれたので、各軍の後方支援兵は、900人に減っている状況である。


さて、話を元に戻すと、軍事行進に参加し、王都を出て行く兵士の数は各軍から1000人で約3000人。

となると、普段の業務である王都の治安維持などに問題が出てくる。

その応援に、方面軍から500人づつの2000人が応援に来る訳だ。


なので応援に来た兵士が夜に遊びに出かけたりするわけで、宿屋は満員、食堂や酒場も人で溢れ、王都全体がなんとなく浮かれて、景気が良くなる。

ようは景気対策のお祭りなのだ。


「では、今回の軍事行進の進路だが…」

サイモン大将が話し出す。


「1軍は今回は北、3軍は南、2軍と8軍で東とする」


「サイモン大将、質問が有ります」


「どうした? ガナッシュ中将」


「西は?」


「あ、ああその事か。いや実はな、スネークス辺境伯領から、数ヶ月毎に交代で王都に兵が来てるのは知っておるな? その兵がついでに盗賊や魔物を狩ってくるものだから、王都から西、特に街道沿いは、魔物が全く居なくてな。街道を逸れた森にも、ほとんどおらず行く意味が無いのだ。毛皮や肉を孤児院や、殉職兵の家族に提供するのが目的だからな。冒険者ギルドから、やり過ぎだとクレームもきてたぞ」


「ええ? スネークス中将?」


ガナッシュ中将がパトリックの方を振り向きながら聞くので、パトリックは、


「ええ、ただ来るよりも訓練しながら来たほうが良いと思いまして。ついでに兵の小遣い稼ぎも兼ねて掃除を。街道はもちろん森の中も。あ、魔物だけですよ? 獣は残してあります。冒険者ギルドがうちにも文句言ってきましたけど、冒険者ギルドの酒場はうちのウイスキー要らないんだぁ〜って言ったら、すんなり引き下がりましたよ」

微笑みながら答えるパトリックを見て、ガナッシュ中将は、


「えげつないな…」

と、小さく呟いた。






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― 新着の感想 ―
[良い点] 胃袋に近い何かを握っていたパトリックさん。酒の活用範囲は広いですね。
[一言] 西以外は手をつけてないのだから、冒険者はそちらで狩れば良いだけの話ですね。 ギルドの苦情には『我々が手加減したとして、こぼれた分をお前らが全て狩るんだろうな?最低でも被害数は今の水準を保てる…
[一言] 行軍して魔物がいるのに放置、もしくは見て見ぬふりして、冒険者が怪我したら文句言うのだろうから、問題ないのでは。 手下が小遣い稼ぎにギルドに売りに来るのだろうし、冒険者は他の北東南に仕事求め…
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