救出?
「パット、やり過ぎじゃね? 兵達びびってんぞ?」
とウェインが言う。
「へ? あのくらいで? かなり手加減してんだけど?」
「あれでか⁉︎」
「あんなの小手調べ程度じゃん」
(俺が昔されたことに比べたらなぁ)
「お前の神経疑うレベルだぞ? てか、人殺した後って、神経高ぶったり、体調不良になったりする奴多いけど、お前平気そうだよな?」
「ウェインだって、平気そうじゃん?」
「俺は昔、領地で盗賊殺した事があるからなぁ。あんときゃ、その日眠れなかったなぁ」
「軟弱者!」
「ほんと、軟弱者かもねぇ…」
「いやいや、冗談だから!」
「てか、お前、なんで平気なの?」
「え? だって盗賊だよ? こっち殺す気できてるんだよ? なんでそんなの殺すのに、神経すり減らさなきゃならないの? 悪党とゴキブリは殺すに限る」
「ゴキブリと同レベルかよ…」
盗賊のアジトに向かう森の中でする話ではないような気がするが、パトリックの中では、盗賊とは虫ケラと同じ扱いらしい。
「あれか?」
引きずられるように歩く盗賊に聞く。
「ああ、あれだ」
そこには廃坑の様な洞窟があった。
「よし、ウェイン小隊と、俺の隊で中に入る、残りは周辺に生き残りが居ないか調査と、警戒にあたれ! ウェイン! 入るぞ!」
盗賊が用意していた蝋燭台が入り口に置いてあり、それに火を付けて洞窟の中に進む。
もちろん盗賊を引き連れて来ているから、中の道案内をさせている。
食料庫、とは呼べないような食料を置いてある横穴、武器置き場、戦利品置き場と続き、最後に、
「居たな、情報通り3人だ」
1人は、人族の老人、歳は70ほどか。白髪のオールバックに青い瞳、身長はパトリックより少し高いか。もう1人は若めの、おそらく狼の獣人男性。
そして、10歳くらいの人族の少年。
金髪で長さは肩にかかるくらいで、緑の瞳をしているのだが、パトリックは一瞬少女なのかと思ったが、着ている貴族服が男性用なので、かろうじて少年と判断した。
3人は、こちらを観察している。
「王国第1軍、パトリック・リグスビー少尉です。盗賊を討伐し、盗賊が人を捕らえていると証言し、存在を知り保護に来ました。貴族の方とお見受けするが、御名前を聞かせて頂きたい」
パトリックが言うと、白髪老人が、
「王国軍か! 感謝する! 私はカルロス、こっちの護衛はマーク、そしてこちらのお方が、侯爵家三男のケビン・ディクソン様だ」
ん? ディクソン? 侯爵家?
「ええっ⁉︎」