功労者リストアップ中
パトリックがソーナリスと鎧の事を話している頃、王はベンドリック宰相やアンドレッティ大将、サイモン中将、ガナッシュ中将らと話し合っていた。
「では、北部での功労者は以上か。次に叛乱の件だが、目立った者は?」
王の問いに、
「陛下、その前に1つよろしいでしょうか?」
と、アンドレッティ大将が遮った。
「どうした?」
王が問うと、
「此度の叛乱、近衛騎士団長の裏切り、諸々の責任を取って、大将の職を辞したいと思うのですが」
アンドレッティ大将が言い放つ。
部下の不始末の責任を取ると。
「いや、そなた程の男を、はいそうですかと辞めさせるわけにはいかん。責任の取り方は辞めるだけでは無い! 信頼できる者には働いて貰わねばならん」
王の言葉にも一理ある。
「しかし、では、どうせよと? 処分無しでは、下のものに示しが付きません!」
「ふむ、ではこうしよう。アンドレッティ」
「はい…」
「元帥として命ずる。そなたは2階級降格、少将に! そして、近衛騎士団団長に任ずる! 武神伝説再びとはならんかも知れぬが、まだまだ動けるであろう?」
「陛下! 確かに若い者にはまだ負けませんが、それでは若者が育ちませんぞ!」
「アンドレッティ、次の近衛騎士団長はそなたが鍛えて任命するのだ。王家と、国を守ると誓ってくれる近衛騎士団長をな!」
「……御意」
アンドレッティが声を絞り出した。
「では、空いた大将にサイモン。1軍と近衛を任せる」
「はっ! 拝命致します!」
「ガナッシュは引き続き3軍を頼む」
「御意」
「陛下、2軍はどうなさるおつもりで?」
サイモンの問いに、ニヤリと笑う王。
「今、2軍の訓練をしているのは誰だ?」
と聞かれてサイモンが、
「ま、まさか?」
「お主のところの婿でも良いが、大部隊の指揮の経験が少し不足しておるからな、ゆくゆくはそれで良いが、今はまだだ」
「ということは?」
「うむ、スネークス中佐を少将に任じ、2軍と8軍を任せる。ウェイン・サイモンには2軍の事実上の指揮を取らせて構わん。パトリックの指揮を見て学んで貰おう。あやつは統率力に優れておるからな。というか、サイモン、早く式をあげてしまえ。籍だけでは娘が可哀想であろ?」
「はっ、色々忙しかったもので」
「確かに色々有ったからな」
「準備を進めます」
「うむ。で、話は戻るが、叛乱での功労者は?」
「身を挺して王家を守ったカナーン男爵が功多きかと」
アンドレッティ少将が言う。
「確かに! 他には?」
「となると、ピンチに駆けつけたスネークス伯爵も」
ガナッシュ中将が言う。
「スネークス中佐…じゃなくて、スネークス少将か、こうあちこちで活躍されると、もう中将でも良い気がするな…」
サイモン中将改めサイモン大将が言う。
「まあ、まだ内緒だが奴には辺境伯として、旧ウェスティン領も任せて、西の備えとなって貰うつもりだからな。もう中将でいいか」
メンタル王が、乗っかる。
「不可侵条約が切れるまでに、西を鍛えておきませんとな」
「ヤツの訓練は過酷だが、その分強化できるのでうってつけだな」
「あと、叛乱に最初に気がついて報告してきたアボットにも褒美を取らせたいしな」
話は深夜まで続いたという。