尋問
「で? お前らのアジトは?」
「へっ! 言う訳ないだろ! どうせ殺されるんだ! せいぜい頑張って探すんだな!」
捕らえられた盗賊が言い捨てる。
そこにパトリックが来て、
「どうだ? 吐いたか?」
と聞くが、
「ダメです。吐きません。殴っても憎まれ口を吐くだけで」
兵が答える。
「俺がやってみるか」
パトリックそう言いながら笑った。
「で? 言う気はないんだよな?」
顔を腫らした盗賊は、
「言っても死ぬし、言わなくても死ぬなら、言う訳ねぇわな」
「まあ、そうだ。じゃあせいぜい口を閉じてろよ。俺はストレス発散させて貰うから」
そう言ってパトリックはニヤリと笑う。
手に持ったのは針。
爪と指の間に針を刺していく。
それは味方の、盗賊を押さえている兵もドン引きの笑顔。
その場には盗賊の苦痛の声。
「このくらいで吐いてたまるかっ!」
ペンチで爪を剥いでいく。
20個の爪を剥いだあと、指先の骨をペンチで潰していく。
次はハンマーを持ち出し、指の根元をぶっ叩く。
次は脛、肘、膝、この辺りで、盗賊は気を失うが、殴って叩き起こす。
作業は血が出ないように丁寧におこなわれた。
最初は叫びうるさかった盗賊は、叩き起こされた後、パトリックを見て震えるのみ。
味方の兵すら震えている。
「言う…言うから!」
「言わなくていい! もっと痛めつけてからでも、俺は構わんのだ。せっかく死なないように、血が出ないように苦心してんだ! まだまだヤルぞ」
表情を変えないでパトリックは1つの瓶を取り出す。
ポーション
それはエルフが作り出した秘薬。飲むと傷がたちまち治る秘薬。
ただし、命に関わるような重症には、何故か効かない。
一説には、命に関わるような重症には傷の回復だけでは、精神の傷が回復しない為だとか、エルフの回復魔法の需要を守る為だとか、諸説あるが。
また、結構高価な薬であるが、エルフが売るのは、自分達が使わないような劣化版だけを人族に売っているからと言う噂もある。
負傷した部下3名にも使用し、治療した薬である。
盗賊の口を無理矢理開けてポーションを飲ませると、たちまち治る。
「さて、もう一周いこうか」
爽やかな笑顔でパトリックが言葉をかける。
「言う! 言わせてくれ‼︎」
「なあ、うちの中隊長、怖いな」
「俺、絶対逆らわない」
「俺も!」
押さえつけていた兵の声が静かに響く。