表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
162/316

スタイン男爵

アインは数人の部下と、エルビス率いる毒蛇部隊と共に東へ向かう。

先に家族を押さえるつもりだ。



そうとは知らずスタイン男爵は、間者が帰らぬのに腹を立てていた。

「まだ帰らんのかっ⁈」


スタインの声に執事が、

「はい、もうあの家に関わるのはやめた方が良いのでは? 我が家も大人しく王家派に頭を下げた方が賢明かと」


「この期に及んでそんな事できるかっ! へたすりゃ準男爵や騎士爵に格下げだぞ! いったいいくつの家が落とされたと思っておる! せめて男爵の地位を死守せねば!」


「陛下も無慈悲ではございますまい、大人しく頭を下げてしまえば、男爵の地位を維持してくださるのでは?」


「領地でのあの件がバレてもか?」


「バレる前に奥方に、止めるように言えば良いのでは?」


「アイツの唯一の楽しみなのだ、止めるわけがない」


「屋敷の中だけで、収まっているだけマシですか」


「外には出るなと言い聞かせてある」


「それはそうと、何もスネークス家でなくても、他の家で良いのでは?」


「あんな若僧がのし上がるには、賄賂しかあるまい! ならば不正の証拠を掴めば良いのだ。それで脅せばスネークス家は言いなりにできる! やるしかないのだ!」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


2日後


アインはスタイン領に到着し、数人に分かれて調査していく。

スタイン男爵の屋敷の位置は知っているし、侵入経路もわかる。なにせ元の雇い主なのだから。


四つの村を1日かけて調査して、わかったことが1つ。


「異常なほどにゴブリンがいないな。これだけ野山があれば、数匹程度見かけるはずだが」

アインの言葉にエルビスが、

「領兵が優秀なのか、冒険者が優秀なのか分からんが、確かにいなかったな。さて、どうスタイン家の者を連れていく? 拉致か?」


エルビスの問いにアインが、


「それは最終手段として、顔の割れてる私が男爵の使いと言って連れ出すのはどうだろう?」


「お館様に捕まったってバレてないのか?」

ニヤニヤ笑いながらエルビスが聞く。


「あ、バレてるかなぁ」


「ダメじゃねえか」


「じゃ拉致で!」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


アインは、にこやかに門番に近づいていく。顔見知りなので。

「よう、リック! 久しぶりだな」

リックと呼ばれた門番が、

「アインじゃねーか! 奴隷に売り飛ばされたって聞いたが、逃げてきたのか?」


(あ、やっぱり聞いてたのね)

アインはそう思いながら、スタイン男爵の屋敷の門番の顎を下から突き上げるように、有無を言わせず殴り飛ばした。

門番が吹き飛び気絶すると、門を開けて屋敷に向かう。

扉を開けて、屋敷に踏み込むとアインを先頭に走りだす。

目指すはスタイン男爵夫人の部屋。

走る音を不審に思った使用人達が、部屋から出てくるが、殴る蹴るで、無力化していく。


目指す部屋のドアを蹴飛ばし、踏み込む。


「うげっ!」

アインの声が漏れた。


「何者ですか! あ、あなたは確かウチの間者の…」

醜く肥太った男爵夫人が何か言ってるが、アインとエルビスの耳には入らない。

目の前の光景が異様過ぎて。


そこには四つん這いに歩く子供のような生き物。

ただ顔は明らかに人間では無い。

「ゴブリン……」

「ああ、でも流石にこれは…」


四つん這いで、首に鎖の付いた首輪をされ、噛みつかれても大丈夫なように、歯を全て抜かれている。

股間に有るべき2つのモノも無く、有るのは棒状の生殖器のみ。

しかもそのゴブリンの上にまたがる夫人。

小さな子なら乗馬ごっこと言えなくも無いが…いや無理か。


「なぁ、お館様は捕らえてこいと言ったが、生きてりゃ良いかなあ?」

「アイン、皆まで言うな。私も同じ気分だ。流石にゴブリンと言えど、これはな…」

「ポーション持ってるか?」

「ああ、数本持ってきた」

「ゴブリンどもはどうする?」

「殺しときゃ良いだろ」

「だな…」


その日スタイン男爵の屋敷は、ゴブリンの死体が無数に有り、当主家族が消えた。多数の使用人達は、何かされたのか怯えて何も話さないという。




「これ、拉致じゃねーな」

誰かが呟いた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 江戸川乱歩の小説にもこういうのありましたね。 こわいわ〜
[気になる点] どこをどうこじらせたらこんな性癖になるのか・・・ というかこんな奥様を大事にするあたり男爵は意外に懐が広い?
[一言] 今まで読んできて描写に関してあまりぞっとしませんでしたが、ゴブリン嗜虐趣味をイメージしたら洩らしそうになりましたw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ