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襲撃の後
「報告! 敵、51名討伐! 1人捕縛。味方、2名戦死、3名負傷。以上です!」
「戦死したのは誰か?」
「エド一等兵、カーター上等兵であります」
「そうか…負傷の3名は?」
「腕を切られてますが、命に別状ありません。すでに治療済みです」
「では、護衛にカイル分隊を付け、戦死した2名と、負傷者3名を、馬車にて王都に帰還させよ、残りは捕縛した一名を尋問の上、盗賊の根城を捜査。捕まってる国民がいるかもしれないからな」
「はっ!」
暗い顔をしたパトリックにウェインが近づいて来て、
「パット、そう落ち込むなよ。戦死者2名ってのは、あの人数の戦闘なら上出来なんだぞ?」
「ウェイン、解ってはいるがやはりな。もう少し上手く出来たんじゃないかと思ってしまう。あの二人の家族に申し訳なくてな」
苦い表情のパトリックの肩を、ウェインはポンポンと叩いて、自分の馬車に戻っていく。
盗賊の首を全て落として、帰還する馬車に詰め込む。いわゆる討伐証明だ。
この首は、王都のとある場所に晒される。
そして、この森から、全速力で逃げる茶髪の背の高い男が1人いたことに、誰も気がついていなかった。