パトリックの訓練
「このっ!」
シュッ!
「甘い!」
ガッ!
「チッ!」
「そこで後ろに引くからこうなる!」
ボコッ!
「げふっ…ま、参った…」
「パット、いやスネークス中佐様よ、スピードが足りないんじゃないか? パワーはそれなりに有るんだけどなぁ」
「ウェインに言われなくても自覚してるよ。しかしお前強過ぎだろ! 人間辞めて魔物にでもなるのか?」
「アホか。俺くらいなら他にもいるぞ」
「マジかよ…決めた! 強い奴とは戦わない!」
「戦場でそんな事言えねぇよ!」
「戦場なら不意打ち、闇討ち、なんでもアリだ!」
「あ、そっちならお前にゃ勝てる気がしない…」
「だから、正々堂々勝負とか言われたら逃げて部下にやらせりゃ良いって事だ!」
「部下が気の毒だ…」
8軍と2軍の合同訓練での一コマであった。
一応、サイモン中将が2軍と8軍のトップなので、最近は合同訓練が頻繁に行われている。
兵力の底上げが、主たる目的である。
地味な体力づくり系は、パトリックが主導し、個人的な技量の底上げはウェインが担っている。
つまり、2軍と8軍において個人の技量最強なのがウェインになったという事である。
部下達の訓練を見て回りながら、2人で打ち合うのもよくある光景になっていた。
「よし、仕上げにランニングだ。全員フル装備!」
パトリックの声に、
「うへぇ、今日は少なめで頼むぜぇ」
うんざりした声を出すウェイン。
「しゃーねーな。ウェインのリクエストにより、スピード上げて3時間全力疾走な!」
「「「ええっー!」」」
「中佐〜多分気絶者出ますよ〜」
ミルコが声を上げると、
「文句はウェインに言え!」
一斉にウェインに憎たらしげな目が向けられ、
「余計な事言うんじゃ無かった…」
項垂れるウェイン。