動乱の事後
翌日、王城のテラスでキラキラした服で、楽しそうなソーナリスと、少し眠そうなパトリックの姿があった。
その後、王国は粛清の嵐が吹き荒れた。
まず、パトリックとソーナリスの件で、1軍に連行されてきたブッシュ家。
ブッシュ伯爵家は取り潰し、ブッシュ家の男性は10歳以上は全て打ち首。女性と10歳未満の男児は平民に。
アボットと2軍に連行された、ハンターレイ子爵家も、家は取り潰し、当主は死罪でその他の者は平民に。
匿われていたニューガーデン家の者は、男子は死罪。
パトリック達に連行された、パジェノー男爵家は、家は取り潰し、当主は死罪、スコットの身柄はパトリックに一任。その他は平民に。
その他リストに載っていた貴族の当主はことごとく死罪、家は取り潰し。
反王家派は徹底的に調査され、僅かな不正すら摘発され、罰金で済めば御の字、悪くてお家取り潰しや、爵位を落とされたりと、反乱の芽を摘んでいく。
次に謀反を起こしたヘンリー派筆頭のレイブン侯爵家は、お家取り潰し。当主は死罪。
内情をベラベラ話した息子は、平民に格下げだが、死罪は免れた。
その他の家族も平民に落とされた。
次にヒッポー子爵家。
謀反そのものには加担していなかったが、謀反人を助けようとした罪で、当主は死罪。
家は男爵に格下げ。
次に反乱に手を貸した兵だが、貴族の領兵で動かざるを得なかった者は、罰金。
王国軍で反乱に手を貸した兵は、一部は死罪、他は全員二等兵に格下げと罰金で済まされた。
貴族当主など打ち首となる者は、王都の処刑場にて、斬首された。
では死罪と明記した者達は?
別の日に王都の処刑場にて、有料の処刑公開があった。1人銅貨10枚。約千円で、貴族が殺されるのを見るというショーである。
なお場内整理はアボット家担当。
宣伝が上手かったのか、大勢の平民が見に来ていた。
だが、来た人は皆後悔して帰ったという。
手足を折られて動けない全裸の元貴族当主達が、巨大な蛇の魔物に、生きたまま飲み込まれるという、この世の地獄の様なショーであった。
この日、ぴーちゃんは人食い魔物という称号を手に入れた。
そして、スネークス家は人食い魔物を使役し、敵を喰い殺させる貴族として、王国貴族、王都の住人から認識される事となる。
そして、スコットだが、左手首を縄でくくりつけられ、王都を馬で引き摺られて、各部を擦り傷だらけにしてとある場所に連れて来られていた。
王都のトイレ事情の説明をしよう。
貴族街は下水道完備である。シャワートイレは無いが、絶えず水が川から流れてきているので、出したモノは流れていく。
では、平民街は?
汲み取り式である。
職にあぶれた者達が、桶一杯銅貨1枚から5枚程度で、とある場所に捨てに行くのである。
とある場所とは、いわゆる肥溜。
良く言えば肥料生産場。
穴が掘られて糞尿の上に藁がひかれ、その上から土がかけられる。後は虫や小動物が分解してくれるのを待つ感じであるが、一応機能している。
その穴にスコットを蹴り入れるパトリックの高笑いが、聞こえたとか聞こえないとか。
なお、その様子を桶を運んできた貧民が見て、言いふらしたので、こちらでも悪評が広がったパトリック。
フィリア第二王妃は、城の離れにて軟禁。
ソフィア第二王女も、城の離れに軟禁。
そしてヘンリーは、
「最後に言う事はあるか?」
王の言葉に、ヘンリーは、
「私の方が優れている!」
最後までその一点張りであった。謝罪さえ有れば軟禁で済ます気だった王。
「やれ」
静かに王は言った。
ズダンッ!
ギロチンの刃が落ちる音が響き渡った。