動乱の終了
翌日、レイブン家の者達を王都へ連行する為、レイブン領を出発する。
が、レイブン家が応援要請していた、レイブン派の貴族の軍と鉢合わせ。
「運が悪かったな」
とは、パトリックの言葉。
これは8軍達に向けてなのか、それとも相手になのか。
一応、降伏勧告はしたが、聞く耳持たず。
8軍と毒蛇部隊は、弓矢の雨を掻い潜り、敵中央部に突撃、レイブン領軍との戦闘で疲れているはずなのに、特に苦戦しているようには見えない。
一時間後には戦闘が終了していた。
「楽勝だったなぁ」
「レイブン領軍よりも弱かったなぁ」
「いつもこんな感じなら、疲れないのにな!」
8軍の兵の感想である。
壊滅的被害を受けた、応援に来たヒッポー子爵軍。
帰り道が少し遠回りになり、ヒッポー領のヒッポー家には、血の雨が降ったとか、降らなかったとか。
ただ、捕縛された貴族の数が増えた。
ようやく王都にたどり着き、王城に赴く。
「陛下、お待たせ致しました。レイブン家と、レイブン家に協力しようとしていたヒッポー家を、捕縛してまいりました」
「ご苦労! 後はこちらでするから、とりあえず休んでおいてくれ」
「はっ! ソーナリス殿下に顔だけ見せて、今日は引き揚げます。さすがに疲れました」
「すまんな。よろしく頼むわ」
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「殿下、戻りました」
「パトリック様!」
「今日は流石に疲れておりまして、顔だけ出しにきました。明日にでも改めて参ります」
「そ、そうですか。分かりました! では、また明日に」
少し残念そうに、しかし笑顔でソーナリスが答えた。
「はい、では!」
パトリックが去った後、
「疲れてる顔も良い…ああっ! あの疲れた顔を膝枕して頭ナデナデしたい! それで、寝ぼけてグリグリされて、その後あーして、こーして…グフフ」
「殿下! 心の声がダダ漏れです! 少しは控えて貰いませんと」
「あ、聞いてたの?!アメリア、盗み聞きは良くないわよ?」
アメリアとはお付きの侍女の名である。
女性としては背の高いほうだろう。青く長い髪の毛がすらっと腰まで伸びており、かなりの美人である。
「聞いてたのとはご冗談を。人が盗み聞きしたみたいに言わないで下さい。アレだけ大音量で言えば聞こえますから!」
と、青い瞳で、ソーナリスを見つめる。
「でも、良くなかった? あの気怠げな表情! 思わず押し倒したくなるわよね!」
「王女殿下の言葉とは思えません」
「いいのよ! もうすぐ伯爵夫人になるから!」
「伯爵夫人でもダメでしょ…」