動乱の時12〜パトリックが去った後の城〜
パトリック達は、王都レイブン侯爵家に向かう。
急ぎ駆けつけたが、レイブン侯爵家はもぬけの殻。
使用人すら居ない。
「逃げたか…」
パトリックの呟きにミルコは、
「追いますか?」
と聞いた。
「無論! すぐに準備して追うぞ!」
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その頃王城では、
「なあ、ソーナリス」
「はい、ウィリアムお兄様」
「パトリック、かなり怖いが良い男だな」
「もちろんです! 私の選んだ人ですから!」
兄妹の会話と、
「父上、あの男、怖過ぎませんか?」
「初めてヤツの残虐さを見たが、凄まじいな。だが、ポーションで治る程度に収める冷静さもあるし、王家への忠誠は確かだ。それに腕はそこそこだが、統率力は高い。気配を殺して相手に気が付かれないという特技もある。何より、ソナがベタ惚れだ。年齢的にはお前より上だが、一応義弟になるのだから、慣れろ」
「慣れますかね? 第一印象がトラウマものの殺気ですけど」
「アレ、凄まじかったな…」
父子の会話と、
「早く湯あみの用意と着替えを!」
「今日の下着、お気に入りだったのに!」
「気をしっかり持って! もう怖い人は居ないわよ!」
「ほんとに⁉︎ もう居ない?」
「なんなのあの黒髪、生きた心地しなかったわよ!」
「あの黒髪が、ソーナリス殿下の婚約者なの⁉︎」
王族、貴族の女性陣や侍女達の会話と、
「我が甥ながら凄まじい。さすが死神!」
「訓練の時はまだ優しくしてくれてたんですね。あの殺気で訓練されてたら、逃亡兵が出ますね」
トローラと部下の会話などが、そこかしこで繰り広げられる。
「さて、これから忙しいぞ! とりあえず城の現状の把握だ! ウィリアム、マクレーン行くぞ。近衛も来い!」
王が声を張り上げ、皆が動きだす。
「どうでもいいけど、この部屋臭い!」
最後はソナ。