動乱の時7〜殺気〜
その頃、王都の門にはなぜかレイブン侯爵軍兵が。
8軍が、
「任務完了の報告を陛下に伝えるため戻った。通してくれ」
と言っても、通してくれない。
「だいたい、何故レイブン侯爵軍が門を警備しているのだ! 王国軍はどうした?」
パトリックの問いに、
「我らはレイブン侯爵閣下と、ヘンリー殿下の命令に従うのみ。誰も入れるなとのお達しだ!」
(ヘンリー殿下ね)と、パトリックは心の中で思い、
「8軍、突入」
パトリックは静かに命じた。
8軍は、門番をしていたレイブン侯爵軍を無力化。
門より続々と進入。
パトリックも門を潜り、8軍には、
「王城に向かえ! 陛下達の護衛を! 私は先に行く。
ミルコ! スネークス家に向かって、毒蛇部隊に王城にくるように伝えろ!」
そう言いパトリックは馬を走らせる。
王城の門番もレイブン侯爵軍に変わっていたが、あっさり撃破し、城内に。
そこで見たのは、2軍の半数と作戦から外された1軍2軍の反王家派出身兵による戦闘。
どちらがどちらか分かりにくいうえに、腕も似たり寄ったり。
そこでパトリックは、
「貴様ら静まれ! 双方、剣引け! 文句がある奴はかかってこい! 私に歯向かうなら死ぬ気でこい! その気が無いなら、道を開けろ! 歯向かうなら叩っ斬る!」
と、普段は抑えに抑えている殺気を最大限に放って言い放つ。
パトリックの殺気など、今まで感じた事が無かった国軍は、敵も味方も震え上がった。
何せ死神の殺気である。パトリックの地獄の訓練が身に染みている国軍。
それは本能が恐怖する殺気、死の気配が漂う空間となった。
その場で腰を抜かした兵たちを蹴り飛ばしながら、パトリックは進む。
目指すは国王陛下と婚約者のソーナリスの元。