動乱の時6〜城内で〜
パトリックは脚の遅い馬車隊と離れ、馬隊と先行することにした。
スコットは簀巻状態で馬にくくり付けてある。
証人が必要だからだ。
スピードを上げて王都に向かうと、王都の門は閉まっていた。
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一方王都内は大混乱。
王城では王派、王太子派、第三王子派の近衛対、第二王子派の近衛と反乱兵による睨み合い。
トローラや王太子派近衛の後ろにはそれぞれ、王と王太子やソナ達、それに対する第二王子派の近衛達と第二王女、そして第二王妃。
「ヘンリー、これほど愚かとは思わなんだ。今なら幽閉で許してやるぞ?」
「馬鹿なことを父上。そこにいる兄上より私の方が優れているのに、王太子を兄上にしてしまう愚鈍な王など、このメンタル王国には必要無いのです。これからこの国は、実力主義国家となるのですから」
「この様な騒ぎを起こす息子に、王太子の地位を授けなかった事を誇りに思うぞ」
「何が騒ぎですか。国内の貴族すら纏められず、反王家派のように反乱の芽すら摘む事もできないで!」
「どのような集団にも、反対陣営は出るものだ。そこと調整しながら運営するのが政だ」
「誰もが納得する政をしないからでしょう! 正しき方向に導けば、誰も反対などしない」
「そんな綺麗事で、貴族が動くと思うたか! 自分の利と建前と正義のバランスで動くのが人というものだ」
「正義を貫けば良いのですよ。悪しき者は排除して正しき者のみで政を行えば、国は纏まるものです」
「そんな事では、国は分裂するわいっ!」
「やってこなかったから今、分裂してるのでしょう? もはや言葉を交わす意味も無い。私が国を良い方向に導きますので、御安心を。この国の行末を見ていてください……
あの世でね!
皆の者! かかれ!」