動乱の時5〜ヘンリーの企み〜
ヘンリーは、このチャンスを待っていた。
王国軍が王都を離れ、3軍は北部山岳地帯に出兵中。アンドレッティ大将やサイモン中将、ガナッシュ中将も居ない。
8軍など、所詮は急造の少数の軍。
側室の子である自分は、第二王子である事で王太子に任命されなかった。
実力は王太子に引けを取るとは思っていない。
いや優っている。
母親の実家、レイブン侯爵家も自分が王になることを望んでいる。
ならばチャンスは活かすべきである。
今回の動きを、いつも小遣いを渡している近衛兵から知る。
この機を逃すものかと思い、すぐさま王都にあるレイブン侯爵家に手紙を出し、領土から兵を呼んでもらう手筈を整えた。
数日後、国軍も王都を離れた。
あとは父親と兄と弟を亡きものにすれば、王になれる。
後のゴタゴタはどうとでもなる。
王家派の貴族のうち、レイブン侯爵派も協力してくれるだろうし、王太子派に負けはしない。
レイブン侯爵軍は、王国でも上位の質と量である。
反王家派の兵も取り込み、領兵とで王都と城さえ確保してしまえば、戻ってきた国軍になす術はない。
いや国王になってしまえば、国軍に命令出来るのは元帥である王である。
アンドレッティやサイモンは煩そうだが、更迭してしまえばよい。
その後地盤を固めて、帝国と和平すれば良い。
鉱山の1つで和平できるなら、安いものだ。
さて、父上と兄上、弟はどこかな?
などと考えていたのだ。