動乱の時3
その後、パトリック達8軍は、他の貴族領へも赴く。
大人しく捕まった貴族は少なく、諦めの悪い家は8軍との戦闘になる。
屋敷に詰めていた兵など数人なので、1人の負傷者すら出さずに鎮圧する8軍。
だが領兵を配置して町の外で待ち構えていた領地もあった。
「8軍、狙うは貴族当主とその家族だ。他は戦闘不能程度で良い。動きは各隊長に任せる。かかれ!」
パトリックの声が響き、各部隊が動き出す。
弓兵の一斉射ののち、馬隊の突入!
今回は長槍を借りてきている。
一部の部隊は左右に展開し、領軍を囲い込みにかかる。
囲まれた領兵達は必死に抵抗するが、国軍、しかもパトリックの訓練に耐えた8軍と、田舎領兵とでは、力量の差は歴然であった。
易々と町に入り、当主の屋敷に到着すると、門を破壊して敷地内に入る。
もちろん警備兵や領兵もいたが、8軍はアッサリ屋敷の門までたどり着く。
屋敷の庭には槍で串刺しにされた兵の骸。
屋敷の扉を蹴破り、突入する8軍になす術なく捕縛される使用人達。
中には抵抗する者もいたが、無駄な抵抗であった。
貴族当主は執務室にて捕縛された。
「死神に捕縛されるとはな。行く先はあの世か…」
当主の力無い言葉が漏れる。
で、王都に戻る前には、8軍の馬車は捕らえた貴族達で満杯。
狭いだ、喉渇いただ、縄を解けだと喚く貴族。
まあ、煩いわウザいわ。
仕方なく途中で馬車を止め、貴族達を馬車から降ろし、全員の前で、スコット・パジェノーへの尋問を開始した。
右手首から先は無いので、左手の指の爪の間に針を刺して、グリグリ動かしたところで泣き喚くスコット。
貴族達はドン引き。
2個目の爪を剥いだところで、あっさりゲロったスコットだったが、ゲロった内容に今度はパトリックがドン引き。
周りの貴族は、パトリックの尋問に血の気が引いていた。
女性陣や、子供は泣き叫んだり、気を失ったり、漏らしたり。
結果的に煩かった貴族は大人しくなったが、パトリックの気持ちは焦っていた。
急ぎ、貴族を馬車に押し込め、馬車のスピードを上げて、王都目指してひた走る8軍。
「間に合ってくれ!」
パトリックの口から言葉が漏れる。