2人して向かうは
その日の午後、パトリックはアボット伯爵と共に、王城へと赴く。
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「陛下、スネークス伯爵とアボット伯爵が、面会を求めてます。如何しますか?」
宰相からの言葉に王は、
「また変わった組み合わせだな。パトリックのやつ、アボットと揉めたのか?」
「いえ、そんな話は聞いておりませんし、そもそもあの2家には、接点が無いでしょう? 領地も北と西で離れてますし、先の部族との紛争時も通った程度でしょうし」
「まあいい。2人を通せ」
「御意!」
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「陛下、ご機嫌麗しく」
「面会、有り難く」
「ああ、で? 2人してどうした? 揉めたのか?」
「いえいえ、我らは揉めていません。アボット伯爵、例の書類を陛下に」
「うむ、陛下、こちらをご覧ください」
アボット伯爵は、書類をベンドリック宰相に渡す。
宰相は、その書類を陛下に手渡す。
書類を読み始めた王は、
「どれ?…ふむ…何だとっ⁉︎」
「陛下、声を荒げてどうされました?」
宰相が慌てて聞く。
「お前もこれを読んでみろ!」
書類を宰相に渡してから、2人の方を見て、
「これは誠か⁉︎」
と聞いた。
「はい、我が配下の調べで入手した情報です。スネークス伯爵にも関わる事なので、先にスネークス伯爵に相談してから来たしだいです」
アボットの言葉を聞いて、
「まずそこが分からん。何故すぐにワシのところに来ず、パトリックの所に行った? 面識ぐらいしか無いだろう?」
王の問いに、パトリックは、
「アボット伯爵家とは、情報交換の同盟を組みました」
と横から口を挟む。
「同盟だと⁉︎」
「はい、陛下。スネークス家と情報交換の対等な同盟を組みました」
と、アボット伯爵。
「むむむ、何が何だか分からんが、まあいい。今はその事より奴らの事だ。パトリック! どうする気だ⁉︎」
王の問いに、
「陛下、私だけでなく、ソーナリス殿下まで狙うとは、陛下に叛意を示したと同義。2日前、我が屋敷に忍び込んだ賊を尋問したところ、そのリストのハンターレイ子爵に雇われたと吐きました。
確かハンターレイ家は、ニューガーデン家の分家だったかと?」
「うむ! 奴め命を奪わなかった恩を忘れおって!」
拳を握り締めながら王が言う。
「まあ、その怨みは私に向いているようですが、それを婚約者だという理由で、ソーナリス殿下まで巻き込むのは、言語道断。まあ、誘拐を言い出したのはブッシュ伯爵のようですが。聞くところによると、度々ソーナリス殿下を、妻に迎えたいと言っていたとか?」
苦虫を噛み潰したような表情の王は、
「うむ! 歳が離れ過ぎているし、ソナに聞いてみたら、秒で拒否してきたので断ったのだが、なかなか諦めが悪くてな。お主との婚約でも、まだ諦めんのか!」
「ブッシュ伯爵家のほうは、確実に陛下への叛意ですので、陛下にお任せしようかと思いますが、どうされます?」
「他の家はどうする気だ?」
「許可さえ頂ければ潰します」
ニヤリと口元を歪めるパトリック。
「宰相! そのリストの家は、全て反王家派よな?」
聞かれた宰相は、呆れた顔で、
「はい、そのようですな。なんとも頭の悪い事で」
と言う。
「法務長官とケセロースキー男爵を呼んでこい!」
王は、脇に控えていた護衛に命令した。
護衛が慌てて退室する。