新たな命令
トロール討伐から、一月ほどたち、俺は訓練の終わりに、木の裏で休憩していた。
心地よい風が丁度良い具合に、その木の裏を吹き抜けていたからだ。
「パトリック少尉! 大隊長から出頭命令だぞ」
金髪を揺らしながら、ウェインが声をかけてきた。
「出頭命令? おれ、何かした?」
「知るか! 俺は呼んでこいって言われただけだ」
そう話してると、
「パトリック少尉! 大隊長から至急出頭せよとの事であります!」
と、ミルコ伍長が駆け寄ってきて告げた。
「お前がなかなか見つからないのは大隊長もよくご存じだな。2人に伝令出すくらいだからな」
ウェインが言い、ミルコ伍長も苦笑いしている。
「隠れてるつもりはないんだけどなぁ」
そう言いながら、大隊長の元に向かうのだった。
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「隠れてるつもりがないなら、何でわざわざ木の裏にいるんでしょうね?」
ミルコ伍長の疑問に、ウェインは、
「アイツが隠れるつもりで動いたら、俺は見つけ出す自信ないな」と呟いた。
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「街道掃除ですか?」
パトリックが聞き返した。
「うむ! 10日後、王太子殿下が、南のディクソン侯爵領に視察に行かれる。その前に、目障りな盗賊や魔物を掃除しておいてくれ。これが命令書だ!」
一枚の紙切れをパトリックに渡すのだった。