交戦か降伏か
伝令が北の砦に帰ってきた。大量の食料と共に。
「陛下よりの命令書だ。山岳地域を制圧し、王国に取り込めとの御命令である」
中将は、命令書を読み宣言し、命令書を少将とパトリックに見せた。
「で、どう動きます? 7軍はとりあえず砦にて、休養と後方支援ですかね?」
パトリックが聞く。
「うむ、そうだな。疲弊の少ない3軍で、山岳地域の集落に食料を持ち込み、交渉しよう。8軍は、どうする?」
「では、うちは反抗的な集落を落とす事にしましょうか。3軍の交渉に応じ無かった集落はお任せを。最初は一緒に動きます」
「良いのか? 汚れ仕事だぞ?」
「うちは、後方撹乱、【暗殺】が任務ですよ?」
「いやしかしだな。兵は納得するか?」
「兵士は、上の命令を遂行するのが任務です」
「たしかにそうだが」
「まあ、いざとなれば私だけでもやれますよ」
「それはそれで問題だが…」
「戦争ですよ? 向こうが侵略してきたんです。負けてれば、こちらが同じ事をされてるはずです。問題無いです」
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王国軍の山岳地域制圧は粛々と進められた。
食料を見せられ、王国に併合されれば飢えから解放すると交渉すると、多くの集落は簡単に落ちた。それほど飢えていたのだ。
だが、抵抗する集落も少なく無かった。
3軍は、抵抗した集落には、手を出さずに去っていく。もちろん正面切って戦いを挑んできた集落は、武器を持つ者は容赦無く斬り捨てた。
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拒否したが戦いに発展しなかった集落は、今後の予定を検討していた。
「奴らの食料を奪う事は出来んのか?」
「他の集落で、王国に靡いた所に運ぶ荷物を奪うと言うのはどうだ?」
「それで上手くいくか?」
「地の理はこちらにある。細道や崖などの襲うに最適な場所で張り込もう!」
男達が相談している。
「族長? さっきから黙ってて、どうしたんです?」
1人の男が、発言しない族長を不審に思い、首を族長の方に向けた。
そこに有ったのは、数分前まで族長であったものの成れの果て。
首から上が無い死体であった。
「ひぃいいっ!」
「うわあああ!」
悲鳴を上げた男達に、
(これくらいで悲鳴とはな)とパトリックは思う。
「お、おいっ! とりあえず逃げるぞっ!」
男が言ったが、
「うっ」
「あがっ」
呻き声と同時に、どさりと2つの首が落ちる。
「おい、終わったぞ〜」
パトリックの声に応えるかのように、家のドアが開く。
「中佐、お見事です。この首、どうします?」
床に落ちた3つの首を見ながら、ミルコが聞く。
「集落の目立つ所にでも晒すかな。怯えさせた後に、8軍で囲んで交渉再開といこうや」
「了解です。で、私が晒しに行くので?私だと見つかりそうなのですが?」
「何のために隠れる訓練してるんだ! 見つかったら走ってここまで逃げてこい。ここいらの奴らから逃げれないようなら、戻ったときに再特訓だ!」
「いや、逃げれなかったら戻れないでしょうに」
「いいから、行けっ!」
「了解です」
首3つを布にくるんでミルコが家を出ていく。
戻ってきたミルコと共に集落を出る。
翌日、8軍と共に集落を囲むパトリック
「今から1時間後までに、降伏か交戦か選べ!
降伏なら、昨日の3人の首だけで許すが、交戦なら男は覚悟しとけよ!」
パトリックの指示により、声だけはデカイと有名なデイブ一等兵の叫び声が響く。
1時間後、白旗らしき物を持って、村の男達が現れるのだった。