伝令は忙しい
3騎の馬が走る。その背中に3軍の兵を乗せ。
目指すは王都の王城。
「伝令である! 開門願うっ!」
走り迫る騎兵に、門番は所属確認を速やかに行い、門を開ける。
3軍の兵は、直ちにアンドレッティ大将に報告する。
アンドレッティ大将は報告を聞き、
「ご苦労! 陛下に聞いて参るゆえ、休んでおれ!」
と、言い残し走り去る。
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「なるほどな、3軍と8軍、そして7軍も良くやった。やはり帝国の後ろ盾があった訳だ。奴らやり方が汚いな。さてどうすべきか。宰相はどう思う?」
王が聞く。
「はっ! このまま北を放置すれば、西と北から同時に攻められる未来は確実。北を我が国に取り込んで、帝国を北からも攻撃できるように備えるのが良いかと。我が国は、食料も豊富ですので、山岳部族を取り込んでも問題無いかと」
「アンドレッティはどう思う?」
「確かに山岳地帯を抑えるのは、良い手かと。そのまま部族を兵として抱えてしまえば、帝国にとっても捨ておけぬ脅威となるでしょう」
「よし、ではそのように! 山岳地帯を制圧せよ。ただし、住民の被害は抑えろよ。その後の統治に支障が出ぬようにな。追加で食料を送り、それで懐柔せよ! 良いな!」
「「御意!」」
「で、パトリックのやつは相変わらず凄まじいな」
「報告書を読むに、ある意味化け物ですな。いや失礼しました。王女殿下の嫁ぎ先でありましたな」
「よいよい気にするな、あやつの能力は現場では確かにそうだろう。どうも一騎討ちには向かぬようだがな」
「敵に見つからぬ。これほど現場向きな兵はおりますまい」
「ベンドリック宰相はどう思う?」
「私は技量の事は明るく無いですが、先の不正を暴いた件でも、かなり有能なのは理解しております」
「だろう? 良い男に嫁がせられて良かったのだが、残りの4人をどうするかだなぁ。誰か良い相手知らんか?」
「陛下、それを我らに聞きますか? バランスが崩れますぞ?」
「王家に反抗的な貴族に出さねばならぬか? 奴ら王家の粗探ししかせぬのに、何故に息子や娘をやらんといかんのだ」
「ここで内乱とか帝国の思う壺ですぞ?」
「わかっておる。しかし嫌なものは嫌なのだ。まあ良い、じっくりと考えることにする。先の件急いでくれ」
「「御意!!」」
3軍伝令は、2軍の輸送部隊と共に、また北に向かう。食料と武器や薬を詰め込んで。