北部砦にて
大量の食料や、槍、矢とともに、3軍と8軍が北部の砦に到着した時、砦は山岳部族に囲まれていた。
「スネークス中佐!」
3軍の指揮官であるガナッシュ中将がパトリックを呼ぶ。
「はい中将」
「我らはこのまま砦に向かい、部族を蹴散らし、砦に入る。貴君ら8軍はどうする?」
パトリックは数秒思案し、答えた。
「8軍の輸送部隊の一部を3軍に預けます。残りは奴らの後方に回り込みますので、ここで別れましょう。輸送部隊をお願いします! こちらから奇襲を仕掛ける時に黒煙を上げるので、それを合図代わりに!」
「承知した。健闘を祈る」
「8軍! 馬車隊は3軍と行動しろ! 走竜隊、馬隊は奴らの後方に回り込む! 準備しろ!」
パトリックの号令により、馬車から食料などが個人のリュックに、詰め込まれる。
「よし、迂回するぞ、8軍出発!」
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3軍は砦の裏門あたりに居る部族の後方から一気に襲いかかる。
部族は砦を包囲する事しか考えていなかったようで、後方からの奇襲にまともに対応出来なかった。
大した被害も無く砦に入った3軍達。
食料や武具の補給にわく北部方面軍。
「フィッシャー少将はどこか?」
ガナッシュ中将が聞くと、
「正門上の物見台に居られます!」
と、近くの兵が答えた。
ガナッシュ中将が物見台に上がり、
「フィッシャー少将、状況は?」
と聞くと。
「おお! ガナッシュ中将。援軍に感謝致します。現在、籠城作戦ゆえ大きな被害はございませんが、敵の弓矢により怪我人は出ております。なにせ敵の数が多いので、討って出るのは無理だと判断致しました」
「なるほど。変に出ずにいてくれて良かった。兵の数は大事ゆえな。3軍と8軍で来たが、砦に入ったのは3軍総員と8軍の輸送隊だ。残りの8軍は敵後方に回り込むために別行動中だ」
「新設の8軍ですか。私はずっとここなので噂しか聞いてませんが、どれほど出来るので?」
「奴らの訓練は凄まじい。3軍どころか近衛でも悲鳴を上げる訓練だ。期待できるぞ」
「それほどですか⁉︎ では、もう暫く籠城でよろしいのですか?」
「ああ、動きがあるまでこのままだ。スネークス中佐待ちだな」