とある貴族の思考
なんだこの魔物は?
コレが屋敷に入った時の第1印象だ。
決して大きくは無い屋敷は、好感が持てたが、中に入って見た蛇の魔物には、本能的に死を連想した。
アレがペットとは。
パトリック・フォン・スネークス伯爵。
2年ちょっと前までは、ただの男爵家の三男だった。
王国軍に入るのも、よくある事だ。
うちの息子も王国軍に入れた。
それが、アレよアレよと出世し、今は中佐だ。
2年で中佐など、恐ろしいスピード出世だ。
息子の大尉ですら、スピード出世だというのに。
王のお気に入りだとか、親殺しとか言われているが、目の前の男は、どこにでも居そうな普通の男だ。存在感が少し薄いが。
領地経営でも、新しい酒の販売や遊戯の開発で、好景気だと聞く。
確かにパーティーで飲んだウイスキーは良かった。
濃さを自分で調整出来るのが良い。ゆっくり酔いたい時は、薄めのやつを楽しめば良いのだから。
酒を水で割るという発想が新しい!
新しい調味料も販売していて、今日の料理にも使われていた。
今まで食べたことのない味だが、不味い訳ではない。いや、美味いのだ。
リグスビー家は確かに風前の灯だったが、王国では古参の家でもあった。最後の当主の不手際で家は無くなったが、血は残った。
スネークス家。優秀だったリグスビー家の血を受け継ぐ家だ。
陛下もそこを考えての、今回の婚約だろう。あの様な優秀な男を、娘1人で王家側に引き入れる手腕は、流石王家だと言わざるを得ない。
あの男と友人になった息子を、褒めたくなる。
まあ、息子はサイモン家に婿に出てしまったがな。
今回の流れ、我がキンブル家にとって良い流れだと確信している。
ただ、あの蛇はなぁ。