ウェイン
俺の名はウェイン。
ウェイン・キンブル。
階級は軍曹だ。
軍曹と言っても、貴族出身の兵では、1番下だ。
軍に志願し、王国軍に入隊して、1人の男と出会った。
パトリックと言う名の、俺と同じく貴族出身の男だ。
珍しい黒髪と黒い瞳を持つが、どこにでもいそうな平凡な顔と、身長168センチほどの細身の体型、どこにでも居そうなそいつは、平凡ではなかった。
まず、どこにいるのか探すのに一苦労する。
存在感が希薄というより、ほぼないんだ。
その上、人から隠れるような場所にいるから、たまったもんじゃない。
食堂に行くと、混んだ場所でもなく、ガラガラな場所でもない、中途半端に人がいる場所で飯を食ってるのだが、そこに人がいるっていうのは、なんとか認識出来ても、パトリックだと認識出来ない。
森の中に入ろうものなら、声が聞こえてくるのに、どこにいるのかわからんし、たまにすぐ隣にいて、心臓が止まるかと思った事も、何度もある。
武術はほどほど。
訓練でも一般兵よりはデキル程度なのだが、魔物との戦闘になると、会心の一撃?というのか、キラリと光る働きをする男だ。
そんな男と友になり、実戦を経験し、命を拾ったのは、パトリックのおかげだと心底思う。
あいつが突破口を開いてなければ、俺は既にあの世だったろう。
アイツに負けてられるか!と、自分にハードな訓練を課すようになって、少しは実力が上がっていれば良いんだけどなぁ
てか、アイツどこ行った?
またあんな木の裏にいた…