お迎え
さあ、そうなると、王都スネークス家は大騒動である!
王家の姫殿下が来るのだから!
許嫁ではあるが、まだ発表されておらず、内定の段階である。
そこに第三王女訪問の報せに、執事どころか、メイドから厩務員や護衛から大騒ぎ。
絨毯を洗い、調度品を買いに走り、殺風景な庭に花が植えられ、東屋が建てられと、王女が来るまでの10日ほどで、多少貴族らしさを醸し出した。
で、当日。
まあ、驚いた。
近衛騎士団が10人、王家の紋章付き馬車三台に第1軍から精鋭50人引き連れた大名行列のごとく、スネークス邸の前に現れたからさあ大変。
周りは野次馬の人だかり。
まさかそんな人数で来るとは思ってなかったスネークス家。
たかが21人の使用人で足りるのか⁉︎
ズラリと並んで王女を迎え入れる使用人達。
門で待ち構えるパトリックと執事。
馬車の扉が開き、ソーナリスが姿を見せる。
「ようこそ我が屋敷に。ソーナリス殿下」
パトリックが出迎えの挨拶をする。
「パトリック様、遠慮なく来ました」
と、嬉しそうなソーナリス。
庭を通って玄関に到着。
扉を開けて目に入るのが、
ぴーちゃん。
事前に聞いていたソーナリスは大丈夫だったのだが。
スネークス邸に悲鳴が響いた。
早々にスネークス家の浴室に案内された侍女達と、一部の兵。
玄関の中がすぐに見えなかった兵達は、内心ラッキー!と思ったとか思わなかったとか。
屋敷に入るのにビビりながらの近衛騎士団と、中に入るのを即遠慮した第1軍に、パトリックは、
「鍛え直しを進言しようかな」
と、悪魔の一言を呟き、それを聞いた兵達の顔色が、見る見るうちに真っ青になった。
その間、ソーナリス殿下は、蛇の頭を撫でたり、尻尾を持ち上げたりと、大変ご機嫌であったと言う。
なかなか見込みのある殿下だと、パトリックは思った。