表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
姉×萌え×ショタ ~才色兼備な姉の弱点はボクなんです~  作者: とら猫の尻尾
第二章 鮫島花梨AAは女を磨きたい《高校入学編》
63/167

参上!男漁りの鮫嶋花梨(結)

「ふーん、それがあんたの名前なのね。分かったわ! よろしくねショタ君!」


 花梨(かりん)さんはボクの肩をポンポン叩きながら笑った。 

 その屈託のない笑顔に、ボクの心はほんわかと暖かく――なるはずもなく!


「ショタじゃなくて、ショウタだってば! キミわざと間違えてるの?」


「あー、ごめんごめん。カリンはずっとあんたのことをオンナ男って命名していたから、今さら本名を名乗られても困るのよねー」


「え、そこは頑張って覚えようよ鮫嶋花梨さん……って、さっきから気になっていたんだけど〝オンナ男〟って何なの?」


「あー、ごめんごめん嫌だった? でもほら、あんたって全然男らしさがないっていうか、見た目が女じゃん?」


「み、見た目が女ぁぁぁーっ!?」


 思わず大きな声を出してしまったボクは慌てて口を押さえたけれど、玄関前には誰もいなかったので少し安心した。


「だってそうじゃん。肌は女の子みたいに真っ白だし、くりっとした目に長いまつげだし、首はすらっと細くて長いし、腕も足も細くて全然筋肉が付いていないし!」


 花梨(かりん)さんはいちいち指さし確認をするように、ぐいぐいボクに迫ってくる。彼女の迫力に負けたボクは、じりじりと後ろに下がっていく。


「――それに、あんた背が低いし!」


 トドメの一撃が弓矢のようにボクの小さな胸に突き刺さる。

 だけど、言われっぱなしは嫌だ!


「せっ……背の低さに関してはキミも同じくらいじゃないか! ほら、若干ボクの方が高いかも! ほらほら見てよ、ねえ!」


「あっ……」


 背筋をピンと立てて手で身長を測るような仕草で訴えかける。

 すると彼女は少し困ったような表情で横に視線を逸らした。

 その様子を見て、ようやく二人が互いの息がかかる程の距離まで顔が寄っていることに気づく。


 女の子の顔を間近で見るということは、こんなにもドキドキするものなのか。

 生まれて初めての感覚に、ボクはひどく動揺してしまった。


「ご、ごめんなさい……」


「べ、別にカリンは何とも思わないからいいのよ……」


 どちらからともなく背を向け合って、空を見上げる小さな二人。

 

 このときボクは、姉と二人きりで過ごしているときにも感じたことのない、ふわふわしたような不思議な感覚を味わっていた。

 

「ねえ、あんたはカリンのことどう思う?」


「えっ……」


 振り向くと、彼女は胸の前で両手の指を絡めてモジモジ動かしていた。

 うつむきかげんなのでボブカット前髪に隠れて表情はよく見えない。


「カリンは可愛い……かな?」


 口を少し尖らせて、モジモジしながら上目遣いで尋ねてきた。


「はへ!?」


 いきなり頭がパニック状態になってしまうボク。

 

 だって、いきなり目の前の女の子がモジモジしながらそんなことを訊いてくるなんて初めての経験なんだよ? パニックになってもおかしくないよね?


 でも、ボクは一人前の男になるためにこの高校を選んだんだ。

 女の子に訊かれたことは誠意をもってキチンと答えるのが一人前の男だよね!  


「八十点かな」


「……は?」


「ボクの姉の可愛らしさを百点だとすると、キミは八十点――」


 採点基準を詳しく説明しようとしていたら、花梨(かりん)さんは地べたに置いてあった肩掛けカバンを両手で頭の高さまで持ち上げた。


「え? あれ? なんか誤解していないかな? ボクの姉は国宝レベルの可愛らしさだから、八十点という点数は……えっと、えっと――」


「このシスコン男がぁー!!」


 ボクの頭に肩掛けカバンが振り下ろされたけれど、幸いにしてカバンの中身はスカスカで痛くはなかった。どうやら彼女が振り上げた拍子に中身のペンケースや本類などは全部飛び散ってしまっていたようだ。


 あわわっと慌てて地べたに散乱した中身をかき集める花梨(かりん)さん。

 ボクもあたふたと手伝いながら言い訳を試みる。

 

「えっと……ボクは姉のことは大好きだけど、シスコンとかではなくてね……」


「カリンに近寄らないでくれるかなー? シスコンのショタ君!」


 ボクのあだ名が少し長くなっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

新作公開中!『馬小屋のペティ』
script?guid=on
小説家になろう 勝手にランキング

↑↑1日1回のクリックお願いします↑↑


小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ