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姉×萌え×ショタ ~才色兼備な姉の弱点はボクなんです~  作者: とら猫の尻尾
第一章 才色兼備な姉の弱点はボクなんです《高校受験編》
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ようこそ!お姉ちゃん温泉へ(2)

 テレビでは女子アナのお姉さんがクイズの解答が分からずに困っている様子が、面白おかしく放映されている。

 ボクもそれにつられて大笑いしていたら、突然に口の中が甘い味覚に変化してびっくりしてしまった。


「美味しい? (しょう)ちゃん」

「あっ……うん」

「そう、よかった」


 そう言いながらスプーンでプリンを(すく)う姉は、とても朗らかな表情だった。

 二人で一つのプリンを食べるのも悪くないね。姉の言う『魔法』の正体が何となく分かった気がした。


 一方その頃テレビでは、女子アナのお姉さんが半べそ状態になってしまい、慌ててイケメン俳優が笑顔で取りつくろうとしていた。この緊迫した状況にお笑いタレントは為す術もなく顔を引きつらせている。


 画面に釘付けになっているボクは、ただただ口に運ばれてくる姉のプリンを食べるミルク飲み人形(ドール)と化していた。


 ここで泣きじゃくる女子アナのお姉さんに撮影スタップからの助け船が出された。なんとクイズの答えを四択問題に変更するというものだ。


 お姉さんは笑顔を取り戻し、ボクもほっと胸をなで下ろす。


 そしてタイミングよくボクの口に運ばれてくる姉のスプーン。甘いプリンをくちゅくちゅと舌の奥で味わいながらボクはふと疑問に思う。小さなプリンを二人で分け合っているにしては量が多くない?


 その時、ボクの小さな疑問を吹き飛ばすほどの出来事が――


「ええっ……」


 思わず驚きの声をあげてしまう。何と、女子アナのお姉さんがクイズ勝負で負けてしまったのだ。清純派女子アナを売りにしているお姉さんは泣き崩れてしまい、『このあと混浴タイム!』というテロップが流れてコマーシャルに突入した。


「お姉ちゃん……もしかしてこれって、放送台本通りのやらせ演出なのかな?」

「ん?」

「あっ……」


 やはり姉はテレビを観ていなかったようで、至近距離で目が合ってしまい戸惑うボク。

 姉はまん丸お目々をボクに向けながらスプーンを根元までパクッと(くわ)えてもぐもぐしている。


「あ、待たせてごめんね!」


 ボクがプリンを催促していると勘違いした姉は、ピカピカになったスプーンで残り少なくなったプリンを(すく)う。小さなスプーンの上でぷるるんと踊るプリンから(しずく)がスプーンの裏側に伝っていく。


「んっ」


 滴は姉のふっくらと柔らかそうな唇に吸い取られて。


「はい、あーん♡」


 姉の唇を経由してぷるるんと震えるプリンがボクの口元に運ばれてきたんだ。


 ボクは無言のまま、あむっとスプーンごとプリンを口の中に入れる。

 すると姉はすぐにそのスプーンをボクの口から抜いて、自分の口の中に差し入れた。あむあむとスプーンをなめ回し、満足そうにむふーっと鼻から息を吐いた。


「お、お姉ちゃん!」


「ふえっ、な、なに(しょう)ちゃん!? お姉ちゃん何か悪いことしちゃったかな?」


 思わず立ち上がり声をかけると、姉はまん丸お目々を見開いてボクを見上げた。


 ボクは唇をかみしめる。

 くやしい。

 こんなに大切なことに何で今まで気付かなかったのだろうか……


「お姉ちゃんは全然プリンを食べていないじゃないか! お姉ちゃんもプリンが大好きなんだよね、なのにボクにばかり食べさせて……」


「あっ、そっち? そっちの話……なのね」


 姉はなぜかホッとした表情で立ち上がり、最後の一欠片をボクの口に優しく差し込んで、


「お姉ちゃんのお口の中は、(しょう)ちゃんで満たされて……とっても美味しくて幸せなんだからね! んふーっ」


 ペロリとスプーンを口に含み、鼻から息を吐いた。


 ボクは姉の言葉の意味を全て理解はできないけれど、きっと深い意味があるんだろう。

 姉はスプーンを咥えたままプリンの空容器とお皿をキッチンに運んでいき、ボクは再びテレビに視線を戻した。  


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新作公開中!『馬小屋のペティ』
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