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姉×萌え×ショタ ~才色兼備な姉の弱点はボクなんです~  作者: とら猫の尻尾
第二章 鮫島花梨AAは女を磨きたい《高校入学編》
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まず馬を射よ(壱)

 土曜日の朝。

 カーテンを開けると初夏の日差しが眩しかった。

 今日はまさにデート日和。


 いまごろ花梨さんは鈴木先輩と駅で待ち合わせをしているはず。

 それから二人は電車に乗ってマリンタウンに向かう。

 10時32分開演の映画を観て、レストランで昼食。

 その後は雑貨屋巡りをしたり、スイーツを食べたり。

 16時45分、プラネタリウムで星空観察。

 外へ出ると、空が赤く染まり始めていて――


 そんなことを考えていると、なぜかいても立ってもいられない気分になってきた。


「私たちも、デート行っちゃう?」

「ふぇ!?」


 とつぜん、耳元で姉の声がして、ボクは変な声を上げてしまったんだ。

  

 で。


 今、ボクらは映画館の端っこの席に並んで座り、映画を観ている真っ最中なわけ。


 たぶん、姉としては冗談のつもりで口を滑らしたのだと思う。でも、ボクは二つ返事でそれを了承した。


 不治の病に冒されたヒロインと、それを知らずに猛アタックする不良男の青春恋愛ストーリー。原作は少女漫画なのだけれど、豪華なキャスト陣が出演するとあって、話題になっている作品なんだ。


 映画の前半こそ、スクリーンよりもボクの横顔をじっと観察していた姉も、嵐の中の告白シーンから映画の魅力にどっぷりとハマっていった。ちなみに、ヒロインはその時に雨に打たれた影響で肺炎をこじらせてしまうという展開が続いていく。


「尊いね……尊いね……ぐすっ」


 ボクの腕をギュッと握り、姉が涙を拭いている。

 病院の駐車場一面に改造バイクが集まってきて、人文字ならぬバイク文字で『愛』の字をかく不良グループ。それを見て涙を流すヒロインの顔がスクリーンに映し出されると、姉の感情はさらにヒートアップ。


 すでにハンカチはぐっちょりと濡れていた。


 一方、そんな姉の様子を横目にボクは、斜め前方に全神経を集中していた。

 その先に見えるのは一人の男の頭。

 その隣には背の低い女の子が座っているのだけれど、イスの背もたれに隠れてしまって全く見えない。

 だからボクは――


 鈴木先輩の後頭部をじっと見つめているんだ!

 

 そうさ。


 ボクはストーカーまがいのことをしているんだ。

 カッコ良く言えば、尾行調査中なんだ。

 

 依頼主はボク。



 あー、ダメだーッ! 

 なんでここに来ちゃったんだろうー!


 ボクは頭を抱えた。


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新作公開中!『馬小屋のペティ』
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