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姉×萌え×ショタ ~才色兼備な姉の弱点はボクなんです~  作者: とら猫の尻尾
第二章 鮫島花梨AAは女を磨きたい《高校入学編》
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出過ぎた杭は打たれない(伍)

 喜多さん特製の玉子サンドは、黄身がとろっと、白身はごろっとした食感のハーモニーが楽しい、極上のサンドイッチなんだ。

 パン生地にも工夫があって、お弁当箱の中に入れておいてもシナッとならないように軽く焼いてあったりもする。

 だから、サクッとした歯触りも楽しめる。


 フルーツサンドも絶品で、ふわっふわの生クリームの中にキウイフルーツとブルーベリーが入っていて、味も食感も専門店の域に達している。

 しかも、パン生地に適度な湿り気を保たせるために、すき間に喜多さん特製の紙を挟んでいる。

 

 うーん、喜多さんはやはり料理の天才だ!


 一方、花梨さんのお弁当は、いつもながら豪華な二段重ねの朱塗りの弁当箱に、だし巻き玉子、色とりどりの野菜の付け合わせ、そして真ん中にドーンと乗せられたエビフライという内容だ。

 そんなに毎日エビフライで飽きないのか不思議だけれど、本人がそれを望んで〝ばあや〟に作ってもらっているらしく、それに関して他人であるボクが口を挟むのは良くないことだよね。


 何はともあれ、テーブルの上にはサンドイッチ弁当と豪華二段重ね弁当、そしてデザートのアイスクリームと、食べかけのハムカツカレーがずらりと並んでいるわけ。

 

「な、なんかすごい! ホテルのビュッフェに来たみたいだよね!」


 ボクは思わず舌舐めずりをしながら、興奮気味に言った。


「へ、へえー……そうなんだ。ホテルのビュッフェって、こんな感じなんだ……カリンは行ったことないから知らなかったよ……」


「えっ、そうなの? 家族みんなで旅行したりしたときに泊まったりしない?」


「あー、そうか……あははは、そっかー。そういえば、こんな感じだったかもー、あははは」


 花梨さんは耳に被さる髪の毛を触りながら、何かを誤魔化すような感じで笑った。




 ……何か引っかかる。


 ボクは今、何か重要なことを見落としているのかもしれない。

 探偵の息子としての(かん)が働いているのだろうか。

 でも、それが何であるかはボクには分からない。




 館内放送のクラシック音楽がフィナーレを迎え、次の曲が流れるまでの一瞬の静寂――


「えっと、じゃあカリンはまず、玉子サンドからいっただきまーす!」

「えっ、あっ……ど、どうぞ!」


 静寂を破って、ボクの弁当に手を伸ばす花梨さんの声は、いつものように無邪気で明るいトーンだった。


「うわっ、美味しいじゃない! ショタ君のおかーさんって、料理が得意なんだぁー!」

「あ、それ作ったのは家政婦さんなんだけどね。うちの家政婦は何をやらせてもプロ級の腕前なんだよ。この前なんて、本格的なにぎり寿司をご馳走してくれたんだ」

「ふーん。うちのばあやもお寿司は得意なんだけど……」

「そうなの? 何だか、うちの家政婦と花梨さんの〝ばあや〟さんは似ているね!」

「あはは、そうかも! じゃあ、ばあや特製のエビフライをどーぞ!」

「うん、ありがとう!」 

 

 と箸を探したところで、ボクの手がピタッと止まってしまった。


「今日はサンドイッチだから、箸が付いていない……」

「いいよ、カリンの貸してあげる!」

「えっ、それじゃあ花梨さんが……」

「なに言ってんの? すぐ返してくれればいいじゃない」


 キョトンとした顔を向けてくる花梨さん。

 えっと……

 あれ!?

 ボクが変に気を回しすぎているだけ!?


 そういえば、ボクがハムカツカレーを先に食べた時のスプーンで、花梨さんは何の戸惑いもなくカレーをすくって口に入れていた。


 もしかして、花梨さんはそういうことを一切気にしないタイプなの? 

 それとも……相手がボクだから?


 ……いや、待て!


 差し出されたピンク色の塗り箸をじっと見つめて考え込むボクだった。


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