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姉×萌え×ショタ ~才色兼備な姉の弱点はボクなんです~  作者: とら猫の尻尾
第二章 鮫島花梨AAは女を磨きたい《高校入学編》
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二兎追うものは姉弟丼(壱)

 美紀さんとサヨナラをしてからも、私はしばらくその場で立ち尽くしていた。

 頭の中で色々な考えが浮かんでは消えていく。

 閉じられた玄関の扉をじっと見つめながら、指の先で唇の感覚を確かめていたその時――


「あの(むすめ)……なかなかの策士でございますな――」


 不意に背後から声がして、心臓が飛び出すぐらいに驚いてしまった。


「い、いたの喜多!? いつから?」


 エプロン姿の喜多が、私のすぐ背後に立っていたのだ。

 彼女は左手に大根を、右手に包丁を持っている。


「――まさか親子丼ならぬ姉弟丼を狙いに来るとは……まあ、私の目が黒いうちは美味しく召し上がれることはないと、思い知るがいいのです!」


 そう言いながら、大根に包丁をグサリと刺した。

 えっと……親子丼? 姉弟丼? なにそれ? 今晩のメニューの話しなの?


 喜多はときどき、私の理解を越えたセリフを吐くのだ。


「お嬢さま――あの(むすめ)如何(いかが)いたしましょう? 消しますか? もちろん、社会的に――でございますが」


 そう私の耳元でつぶやいた彼女の口元は、ひくひくと引きつっていた。


「ちょ、ちょっと待って! 曲がりなりにも美紀さんは私のお友達なんだから……あなたには手を出してもらいたくはないわ……」


「そうですか。それは少し残念です。ほんの少しですが……」


「あっ、ちょっと待って!」


 なぜか肩を落として、キッチンに戻っていく喜多の後ろ姿に向かって、私は声をかける。

 

「……もしかして、あなた……私と美紀さんがベッドの上にあんなことになっているのを、黙って見ていたんじゃ――」


 かーっと顔が熱くなって、私は口ごもってしまった。

 思わず口が滑ってしまったけれど、このタイミングであのことを思い出すのキツい。

 それに、さすがに喜多でも、あの状況をただ傍観するなんて有り得ないこと。


「それはもしや、毎晩のようにお嬢さまがショウタ様のベッドの上で、アハーンとか漏らしながら、淫らな行為に耽っているときのお話でしょうか?」


「えっ……違う……けど」


「そうですか。それでしたら答えは〝ノー〟と言っておきましょう。私はなーんにも見ませんでした。ええ、なーんにも」


 そう言いながら、ドアを開けてキッチンへと戻ってしまった。


 はっ?


「ちょ、ちょっと待ってよ! アハーンとか淫らな行為とか、あなた何か誤解しているでしょう!?」


 私は慌てて喜多の後を追ったのだ。



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