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創造能力なのに剣以外を創造出来ません  作者: 幻影刃
最終章 決戦、邪龍デスラ
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邪龍の祭殿

無事受験も終わりました。


 真っ白な視界から徐々に周りの風景を映し出していく。

 そこは、先程いた場所とは全く違った。


「ここは……」

「この紫色の空……。そうか、これはあの塔の上か」

「どうやらそのようだ。その証拠に、ここの下には街が見える」


 だがしかし、塔の上に何故こんな遺跡があるのであろうか。

 空が紫色になるまでは、こんな遺跡の影も形もなかったというのに。


「兎も角、早くヴァーレル達を追いかけよう」

「そうだな。幸い、この遺跡に別れ道はないようだ」


 そして俺達は、ヴァーレル達とリアラがいるであろう遺跡の先に向かって歩き始めた。



* * * * * * * * * * * *



 この遺跡の第一印象は、「かなり古い」だ。

 見るからにボロボロの床と柱。そして、重力を無視して浮いているこの遺跡の破片などがその証拠だ。


 それにしても、一体どんな力でこの遺跡を浮かしているのか。

 先程言った遺跡の破片が浮いているのは、恐らくこの遺跡を浮かしている力が遺跡のみを対象にしてこの辺り一帯に働いているからだろう。


「この先か……」


 しばらく歩いていると、如何にも先に何かある雰囲気を漂わせた扉があった。


 ほぼ間違いなく、この先にヴァーレル達がいる。


「準備はいいか?」

「大丈夫だ、問題ない」

「おい、そこでその台詞は演技が悪過ぎるぞ」


 ディンが死亡フラグを立てたところで、俺は扉を開ける。


 扉を開けた先には、先程通ってきた道とは違い、内装が綺麗でエジプトのピラミッドの内部を思い起こさせるようなものだった。

 そしてその奥には、大勢の人達とヴァーレルが祭殿に寝かされているリアラに向かって何かの呪文を唱えていた。


「……まさか、ここまでしつこいとはな」

「ディン、止めるぞ!」

「わーってるよ!」


 この儀式的な何かを阻止するために、ディンは接近し俺はヴァーレルに向かって剣を射出する。

 だが、ディンの接近は他の人達に阻まれ、俺が射出した剣もその人達に弾き落とされる。


「後は私一人でやる。お前達は、その二人の足止めをして貰いたい」

「了解しました」

「くっ」


 どうやら、こいつらはどうしても邪龍を復活させたいらしい。


 ヴァーレルを除いた人達——邪龍神教の信徒達は武器を取り出し戦闘態勢に入る。

 こいつらは間違いなく、邪龍復活の邪魔になるものは全て排除する筈だ。

 ということは、今俺達がヴァーレルを攻撃しようとしてもこいつらが全力でそれを防いでくるだろう。


「仕方ない、やるぞ」

「隙があればヴァーレルを攻撃する。運良く当たればいい程度だが」


 そして、邪龍神教達がこちらに向かって走ってくると同時に俺達も走り出す。


 一人一人相手にしていては時間がかかり過ぎてしまう。

 だから、ここは一気に相手をする……!


「創造……前方射出!」


 数十本の剣を一気に射出し、こちらに向かって来た邪龍神教の信徒達を一掃する。

 ——この際、生かすか殺すかなんて考えよりもリアラ救出が優先だ。


 残った信徒達の処理はディンが魔力を込めた槍を投げて爆発させる。

 はっきり言うと、この信徒達は俺がレジェスで戦った時よりも遥かに弱い。


「どうした、これで終わりか!?」

「そんな訳なかろう」


 ヴァーレルがそう言った瞬間に、この場にテレポートしてきたかのように邪龍神教の信徒達が新たに現れる。

 それも、先程とは明らかに人数が増えている。


「先に行け、ここは俺がやる」

「流石にこの人数を一人で相手するのは無茶だ!」

「だったら、このままずっと足止めされておくか?」

「…………」

「道は開けてやる。後はそこに突っ込め」

「わかった」


 話が終わったと同時に、ディンが持っていた槍に膨大な量の風属性魔力を付与する。

 そして、風属性が付与された槍を思いっきり前に突き出し、それと同時に風属性を解放する。


「トルネード・エア!」


 すると、凄まじい突風が槍から放たれ信徒達を吹き飛ばす。

 それに加え、その突風が他の信徒達を近付けない。


「この風に乗って進め!」

「おう!」


 俺は突風の流れに乗り、普通に走るよりも速く前に進んで行く。

 その速さに信徒達も簡単に反応出来ず、信徒達が攻撃する前に突破することが出来た。


「ヴァーレル!」

「ふむ、来たか」

「今すぐにリアラを返してもらうぞ!」

「ついでだ。お前との決着をつけようではないか」


 ヴァーレルが横にある壁を押すと、俺の真後ろの床から紫色の炎が出てくる。

 そして、俺がいる場所とディンがいる場所とで完全に区切られる。


「その炎の名は滅炎。特別な方法でしか消すことの出来ない炎だ」

「これで俺達の勝負の邪魔する者はいない、ということか」

「その通りだ」


 ヴァーレルは武器を持たずに構える。


「おいおい、まさか素手でやるのか?」

「甘く見ない方がいいぞ?」


 俺は剣を創造し、剣尖をヴァーレルに向けて構える。


「さぁ、行くぞ!」


 ヴァーレルがそう叫ぶと、ヴァーレルは明らかに常人では出来ない速さで距離を詰めてくる。

 その行動に、俺は咄嗟に防御の構えをとる。


「ていやっ!」

「ぐっ」


 ヴァーレルの攻撃を剣で防ぐが、防いだ剣がピキピキと嫌な音を鳴らしながらヒビが入る。

 真面に受ければただでは済まないだろう。


 どんだけ馬鹿力なんだよこの博士……!


「まだまだァ!」


 ヴァーレルは次々に攻めてくるが、俺はその攻撃を防ぐか回避するかで精一杯だ。

 それに、俺の創造した剣がヴァーレルの攻撃に耐えられる回数は一回。

 二回目の攻撃を受け止めれば、間違いなく剣は砕ける。


「仕方がない。奥の手だったんだが、特別に披露してやるよ」

「何を今更ァ!」


 今から使うこのスキルは、俺が父さんから力を返してもらった時に現れたスキルだ。

 その名も……、


「魔力解放・絶!!」


 俺がそう叫ぶと、通常の魔力解放よりも遥かに大量の魔力が放出される。


 このスキルの内容は、今俺が使っている魔力解放の上位互換のスキルと言える。

 このスキル発動中は、通常の魔力解放の効果に加え俺の持つスキル全般が大幅に強化される。


「創造!」


 俺が剣を創造すると、創造された剣からは稲妻が走り、刃はいつもより鋭くなっている。

 先程よりも強くなっているというのが一目瞭然だ。


 しかし、強い能力にはリスクが付き物だ。

 この魔力解放・絶は、通常の魔力解放よりも魔力の消費が早く、使用時間が長いほど体にかかる負担が大きい。

 使用時間の目安としては、大体十分程度だ。

 それ以上は、俺の魔力が枯渇するか体がぶっ壊れるかのどっちかの事態が起きてしまう。


「うぉおおおお!」

「はぁああああ!」


 切って防ぎ、剣が砕ければ再度創造し攻撃を再開する。

 ——攻めろ、攻めきれ。反撃の隙を与えないほどの攻撃をするんだ。

 そうすれば、いつかはヴァーレルを仕留める最大のチャンスが生まれる筈だ!


「うぐっ」

「——ここだぁあああ!」


 俺の攻撃によって一瞬だけ怯むヴァーレル。

 その一瞬を狙い、俺はヴァーレルの心臓目がけて剣を突き出す。


 そして、その剣はヴァーレルの胸を突き刺さり、そのまま貫通させた。

明日もこの時間に更新予定です。

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