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創造能力なのに剣以外を創造出来ません  作者: 幻影刃
第五章 翼竜族の街 タルベス
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お別れ


 ヴァーレル達が消えてから間もなく、俺達は起動した超小型爆弾を探していた。


「どこだ!」

「超小型爆弾だ。念入りに探さないと見つからないぞ!」


 機械の後ろ、瓦礫の下等、一通り見たが爆弾らしきものは見当たらなかった。


 探し始めてかれこれ五分が経過している。

 あと何分何秒で爆発するのかもわからない。


「どうすれば……」

「——シロ、ウ」

「——!」


 この状況をどうするかを考えていると、先程まで気を失っていたエレナが目を覚ました。

 ——しかし、何処かいつもと様子がおかしい。


「体は大丈夫か?」

「はい、動けませんけど」

「そうか。落ち着いて聞けよ、今ここに爆弾が仕掛けられている。何が音とかが聞こえたら呼んでくれ」


 俺はそう言って、再び爆弾探しを始めようとするが、ここでエレナが俺の名前を呼んだ。

 早速何が爆弾の音が聞こえたのだろうか。


「どうした?」

「爆弾の場所、わかった」

「本当か!?それで、何処に?」

「ここです」


 エレナは、自分の頭を指さして答える。

 いや、そうじゃない。今は真剣な話をしている。

 こんなボケにいちいちツッコム程余裕はない。


「冗談はよしてくれ。これは真剣な話だぞ」

「だから、爆弾は私の頭の中にあるんです」

「ふざけるのも大概に——」

「ふざけてなんていない!!」

「——!」


 エレナの声を荒らげながらの発言に俺は驚く。

 エレナの声の荒らげようと真っ直ぐな眼差し。とても嘘を言っているようには見えない。


「ずっと頭の中で音が鳴ってる。残り時間を伝える声も聞こえる」

「……それが本当なら、俺は一体どうすればいいんだ……」


 仲間の体の中に爆弾があるのなら、それを止める方法は二通りある。

 まず一つ目が、爆弾がある部位を切り裂き中の爆弾を取り出し、爆弾の解体をする。

 そして二つ目が、対象の人物を永久に凍らせることだ。そうすれば、爆弾が爆発することは有り得ない。


 しかし、その二つの方法を俺達は出来ない。

 した所で、間違いなく失敗することは目に見えている。


「どうすれば……」

「……シロウ、一つ提案があります」

「………」

「私の心臓を破壊し、私の生命活動を停止させてください」

「……は?」


 エレナの提案に、俺は驚きを隠せなかった。


 生命活動の停止とはつまり、人の死を意味する。

 エレナの言う提案とは、自分を殺すというものだ。


「恐らく、この爆弾は私の生命エネルギーでうごいる。だから、私が死ねばこの爆弾も止まる」

「ふざけるな、何で仲間を殺さなくちゃなんないんだよ……!」

「それじゃあ、この他に爆発を止める方法はある?」

「…………」


 エレナの質問に、俺はただ黙ることしか出来なかった。

 すると、倒れているエレナの胸にディンが持っている槍を向ける。


「お前が殺らないのなら俺が殺る」

「ディン!」

「仲間が大切なのはわかる。だがな、この街にいる人全ての命か仲間一人の命。お前ならどちらを選ぶ?」

「…………」


 俺は、ディンの質問にすぐに答えられなかった。

 大抵の人ならば、たった一人を救うよりも大勢の人の命を救うだろう。

 だが、俺にとってはどちらも大切だ。

 決めろなんて言われても、すぐに決められる筈がない。


「シロウ……」

「………なんだ」

「……せめて、大切な人の手で眠らせて」

「……わかった」


 覚悟なんて出来ていない。

 だけど、エレナがそう望むのならば俺はその通りにするまでだ。


 俺は一本の剣を創造し、エレナの近くで座る。


「……何か、言い残すことはないか?」

「……それじゃあ、一つだけいい?」

「ああ、言ってみろ」

「今まで、私を仲間と呼んでくれて、ありがとう。そして、約束を守れなくて、ごめん」


 エレナは涙を流しながらそう言う。


 ——俺だって悲しい。

 悲しいが、俺がここで涙を流せば、エレナは安心して眠れない。


「……謝るのは俺の方だ。俺が、もっと早ければこんなことには……」

「自分を責めないで。責めるくらいなら、リアさんを助けることに集中して」

「……ああ、すまない」


 これが最後のエレナの説教だと考えれば考える程、俺の心が締め付けられていく。


「……そろそろ時間」

「……わかった」


 俺はエレナの上に馬乗り状態になり、左胸の心臓に剣の先を向ける。


 エレナと話している間に覚悟は出来た。

 ここまで来たのなら、もう引き返せない。


「……エレナ、またな」

「……はい」


 俺は剣を振り上げ、エレナの心臓に狙いを定める。


「シロウ、大好き……!」

「……!!」


 そして、俺の剣はエレナの心臓にを貫いた。

 ——それから間もなく、エレナは眠るように意識を失った。


 刺さった剣をゆっくりと抜き、エレナがいつも使っていた短剣と俺がエレナを刺した剣を隣に突き刺す。


「……ありがとう」


 俺はそう言ってからすぐに、ヴァーレルが消えた場所に向かう。


「おい、どこへ行く」

「ヴァーレル達がいる場所だ」

「わかるのか?」

「ただの直感だけどな」


 ここに何も無いのなら、ヴァーレルはこの塔から消えることも出来ない。

 つまり、ここにはあまりにも見つけにくい何かか。

 或いは、目に見えない何かがあるという事だ。


 天井に何も無いことはわかっている。

 壁も、爆弾捜索の時に一通り見たが何も無かった。

 残るは、ヴァーレルが消えた場所付近の床だ。


「これか?」


 そこには、一つだけ色と形が若干違う所があった。

 だがしかし、踏んだり触れても何も起こらない。


 そこで、その場所に魔力を流してみると、ヴァーレル達が消えた時と同じ光が現れた。


「ディン!」

「ああ、わかっている」


 ディンが光る床に乗ったと同時に、俺達が消えて行き視界が真っ白になって行く。

 ——エレナの姿も見えなくなって行く。


「それじゃあ、ちょっくらヴァーレルからリアラを助けに行ってくるからな」


 俺がエレナに向かってそう言うと、俺達の視界は完全に真っ白になり、体が勝手にどこかへと引き寄せられるような感じがした。


「絶対に助けるから待ってろよ、リアラ」


 もう誰も死なせない、そう俺は決意した。

これ更新してから来週の12日までは更新ストップです。

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