創造VS創造
何故五千年前の英雄が目の前にいるのかはわからない。だが、態々この塔に来たということはヴァーレルが関係していると見て間違いないだろう。
「なんとか言ったらどうなんだ?」
「…………」
小学生程度の挑発をするが、乗らないどころか反応さえ全くしない。
——やはり、今のあいつはただの抜け殻に過ぎないということか。
話さないことといい感情のないような目といい、間違いなく本人の意識はないだろう。
「魂を消されたか、それとも単に意識が封じられているだけか。どちらにしても、俺はお前に勝たないといけない理由がある」
剣を創造し、漆黒の剣士——いや、かつての英雄に剣を向ける。
「——こいっ!」
俺の魔力解放と同時に英雄がダッシュ斬りをかましてくる。
俺はその攻撃を左へ避けることで回避し、即座に英雄に向かって剣を射出する。
だが、射出した剣は英雄がほぼ同時に同じ量の斧やら剣やらと色々な武器を創造し、射出した剣とぶつかり砕け散る。
「やっぱり、レオンとはまた違うな」
レオンは俺の力の一部と自分の属性である闇だけを使った創造なので、創造したものが物として定着することは無かった。
しかし、この英雄の創造する物は全て形として出来上がっている。
それに、あいつが創造したのは剣と斧。
一体どの属性を持っているのかはわからないが、武器系の属性を持っていることは確かだ。
「武器の種類ならそっちの方が上ってか?」
何度も創造からの射出を繰り返しているが、その度に英雄が射出する武器の種類が増えてきている。
「槍、短剣、剣、斧、刀までもか」
このまま武器の射出を続けた所で埒が明かない。
こうなれば、早く接近戦に持ち込まなければ……。
「うぉおおおお!」
俺は剣の射出のペースを少し落とし、英雄に近づくことに集中する。
それに対し、英雄はその場を動かずに俺に武器の射出を続ける。
飛んでくる武器を俺の剣の射出によって弾いていき、弾き漏らしは自信の持つ剣で弾く。
「兜を外したのが仇となったな!」
兜を外した奴の頭部はがら空き、少しでも剣が当たれば傷が付く。
俺は英雄の目の前まで接近し、がら空きの頭部に向かって剣を振るう。
だが、その攻撃を英雄は手に持つ剣ではなく射出による攻撃で俺の攻撃を中断させる。
そして、その隙を英雄は見逃さず、手に持つ剣で俺にカウンター攻撃を仕掛けてくる。
「ちっ……!」
俺は咄嗟にもう片方の手に剣を創造し、英雄の攻撃を受け止める。
鍔迫り合いに入った途端に、俺は最初に創造した剣を英雄に向けて投擲するが、その攻撃も首を傾けることで回避する。
鍔迫り合いを続けていても不利な状況が続くだけだと感じた俺は、一度相手との距離を離す。
「……創造」
先程持っていた剣を破棄し、英雄は新たな武器の創造をする。
創造したのは火属性と水属性の槍を一本ずつだ。
——あいつ、属性付与まで出来るのかよ。
「……融合」
「融合……?」
英雄がそう言うと、先程英雄が創造した二本の槍が合わさり、一本の槍になる。
「ハァッ!」
「——!?」
英雄がその槍を前に突き出した途端に煙とともに勢いの強い水が出てくる。
俺は無意識に発動した高速思考を使い、紙一重で回避する。
「——嘘だろ……?」
飛んで来た水はそのまま塔の壁を貫通する。
あの時に高速思考が発動していなければ、俺の体もあの壁のように貫かれていただろう。
「それにしても、武器同士の融合か……面倒だな」
ただの武器同士ならまだしも、属性が付与された武器なら厄介極まりない。
先程のは火属性と水属性のぶつかりで発生する水蒸気で気を紛らわせた後に高出力の水属性攻撃をしたというところか。
この水属性攻撃は恐らく、槍を使った属性攻撃だ。
剣ならば降るとただ水が出るだけだが、やりになると話は別だ。
槍は元々突いて攻撃するのが基本の武器だ。
つまり、剣ならばほぼ全体に水を出すため威力は落ちるが、槍はその水の威力を一点に集中させる突きができる。
それを利用し、水をビームの真似事のようなことをしたというわけだ。
水蒸気のお陰で途中に水の勢いがなくなることも無いしな。
「……創造」
「まずいな……」
英雄が再び創造をする。
阻止したいところだが、かなりの距離を離れてしまったため、今向かったところで間に合わないだろう。
「……融合」
そして、英雄は更なる融合を開始する。
先程創造した武器は剣。
属性は、火、水、光、闇の四属性だ。
絶対に交わらない属性をも融合するとはな……。
そして、出来た剣はそれぞれの属性のオーラが纏われていた。
「……フンッ!!」
英雄がその剣を振るうと、全ての属性が纏われたビームが出る。
——何でもかんでもビーム出せばいいと思ってないか?
俺がその攻撃を回避すると、次は水圧カッターが飛んでくる。
「あっづ!!」
流石の連続攻撃も完全に回避することは出来ず、水圧カッターが俺の左肩を掠める。
火属性の熱に触れたせいか、物凄く熱い。
「あっぶねぇ……もう少しで左腕が飛んでた」
もし、体の部位が切断されると自動回復でも流石に生やすなんてことは出来ない。
出来るとしても、精々止血くらいだろう。
「こうなったら……」
俺は、魔力解放の効率を上昇させて体のリミッターを解放する。
「——今出せる本気を出そう」
地面を蹴り、英雄に接近する。
それも、以前よりもスピードを上げて。
魔力解放の効率を上げたことによって、魔力の循環スピードが増し活性化した体と、以前よりも溢れ出る量が増えた魔力を足元で爆発させ、その爆風で更にスピードをさらに上げる。
英雄は武器を射出するが、全て移動だけで回避していく。
「てやあ!」
飛んでくる武器を見極め回避して英雄に接近し、剣を振るう。
その攻撃を、英雄は手に持つ四属性を融合した剣で防ぐ。
一見あまり聞いていないように見えるが、先程までは射出をする余裕があったのに、今は手に持つ剣で防いでいる。
ということは、英雄にも余裕がなくなってきたということだ。
「その剣にはこの属性はないだろ!」
俺は、英雄が動けない状況を作ると龍属性を付与させた剣を幾つか射出する。
それに対抗して、英雄はあらゆる武器を射出するが、俺の龍属性の剣には敵わず粉砕されていく。
そして、俺が射出した龍属性の剣は英雄に直撃した。
これ書いてると、某AUOを思い出す。




