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創造能力なのに剣以外を創造出来ません  作者: 幻影刃
第五章 翼竜族の街 タルベス
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塔の頂上にいる者


「………」


 あれから暫く経ち、俺はもう目的の塔に着きそうな辺りまで進んだ。というか、もう目的の塔は目の前にある。


「やっぱり警備がいるか……」


 その塔の前には警備の翼竜族が見張っている。

 流石にこのままダンボール箱を被った状態で行くのはまずいな。


「何処か抜け道ないかな〜?」


 正直言うと、魔力解放をして突破するという手段もあるが、もし党に入る姿を見られて中まで追って来るかもしれないので、これは最終手段にしたい。


「問題は二人いるってことなんだよなー」


 一人なら、見つかる前に無力化すれば問題ないが、二人いるのなら僅かな隙を見て増援を呼ばれるかもしれない。

 あの二人の気を逸らすようなものがあればいいのだが……。


「……女の演技……試してみるか?」


 今の姿は完全に半銀髪でオッドアイのごく普通な女性だ。この女装は股を見られない限りは見破られることは無いだろう。

 本気で女を演じ、あの二人が油断した隙を狙うのもいいかもしれない……。


「いやいや、もっといい方法がある筈……」


 だが、そんなことをしてしまえばそれこそ男のプライドというものが崩壊してしまう。

 男のプライドを捨てるくらいなら、もっと違う方法を探す。


「………そうだ……!」


 俺が今思いついた手段は、刃を潰した剣を創造してそれをあの二人に撃ち込むというものだ。

 発射速度をミスったら二人を貫通してしまうが、ある程度発射速度を抑えれば気絶程度に抑えられるであろう。


 一人だけ先に倒してしまうともう一人が起こしに行くので、ここは二人まとめて気絶させるとしよう。


「創造・前方投擲」


 刃を潰し、鈍器と化した二本の剣を二人の翼竜族目掛けて射出する。

 そして、それは見事に腹に命中して「ぐあっ」と声を上げて二人は倒れる。


「……死んでないよな?」


 倒れた二人の生死を確認すると、きちんと呼吸はしていたので大丈夫だと思う。


「さてと、それじゃあ本番入りますか!」


 そう言うと、俺は塔の中へと進んで行った。


 塔の中は薄暗く、天井は真っ暗で完全には見えない。これじゃあ、この塔がどれくらいの高さかもわからない。


「遅かったですね」

「いや逆に速すぎじゃね!?」


 塔の真ん中には俺とは別行動をとっていた三人が階段の段差に座って待っていた。

 これでも早く来たつもりなんだが、それで遅かったってマジかよ。


「どうしてそんなに速いんだ?」

「そりゃあ私、魔法で姿消せたので」

「私は飛べたしね」

「警備が少なくて走ってもバレなかったよ」

「ズリぃよそれは」


 この状況をゲームで言うなら、リアラはクリア特典の隠しアイテムでクリアして、レナはゲームを改造してクリア。エレナが正規ルートに繋がる裏ルートで来た。こんなところだ。


「あ、途中で警備の人達がそっちの道に行ったけど何かあったの?」

「いや、私は見つかってないから論外ね」

「その人達は私からして右の方に行きましたけど」

「………な、なんだよ」


 リアラの言葉でここにいる三人が同時に俺を見つめてくる。

 しかも、この目はアレだ。好意とかじゃなくて見下しの眼差しだ。


「ああ、見つかったけど何か問題あるか!?」

「ないよ」

「じゃあ、その眼差しをやめてくれ!」

「よぉし!それじゃあ塔を上るよ!」

「無視するなぁ!」


 割とマジでこの街に来てからの俺の扱いが酷くなっている気がする。


 それから塔の端にある階段で上に登って行く。

 ちなみに、レナは俺達に合わせて飛んで上がっている。


「……妙だな」

「どうしたんですか?」

「ここは邪龍神教にとっては重要な施設の筈だ。なのに、見張りが一人もいない」

「確かに、言われてみればおかしいですね」


 奴らは、ここがなければ住民達を操れない筈だ。

 いや、そもそもこの考えが間違えているのか?

 だがそれなら、塔の周りにだけ警備がいる理由がわからない。


「罠……かな?」

「そうかもしれないが、罠だからってここを登らない理由になんてならない」

「どのみち登らないと罠かどうかもわかりませんしね」


 確かに罠かもしれないが、登ってみないとわからない。それに、この上には何科がある予感はしている。


 だが、罠だとしても俺らがこの塔に来ているとわかる筈がない。


 それからしばらく階段を登り、ついに階段の終着点まで着いた。

 終着点には何かの金属で作られた扉が一枚あるだけだった。


 ——この先に、翼竜族を洗脳している装置が……。


「……入るぞ」

「はい」


 そして、重たい扉を開けて俺達は中に入る。


「諸君、お疲れ様。よくここまで登ってきたね」


 中には、恐らく翼竜族を操っているであろう装置とその前に白衣を着た老人が一人いた。


「君達のこれまでしてきたことは全て知っている。邪龍神教から狙われているシロウ サクラギ君に、邪龍の器であるリア サクリドラスさん。この街で一人邪龍神教に逆らう愚か者のレナ。そして、()()()()()()であるエレナ イノルセス」

「……何故俺達の名を知っている?」

「それに、エレナさんが私の最高傑作って……どういうことですか?」

「…………」


 老人がそう言うと、俺達は一斉に戦闘態勢に入る。

 だが、老人が顔を見せると同時にエレナの様子が少しおかしくなった。


「……貴方は……!」

「そう、私だ。懐かしいな」

「エレナ、アイツを知っているのか?」

「……彼の名はヴァーレル シパノス。私を機械の体にして救ってくれた博士です」

「な!?」

「え!?」


 俺達の目の前にいる老人——ヴァーレル シパノスはエレナを機械の体にした博士であった。

ついにエレナの体の六割を機械にした博士の登場です。

敵か味方かは……見ればわかりますよね?

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