悪夢と地獄の魔物
「なっ……!」
「なに……これ……?」
俺達は『タッチ』の画面に映し出されている動画を見て驚きを隠せなかった。
何故なら、映し出されているのはゴーストタウンと化したデモービルだったからだ。
「今映し出されている映像は現在のデモービルです。」
「これが街なんですか?」
「一体、何があったんだ?」
これが現在のデモービルだとしたら住民はどこにいるんだ?
街と言うくらいだからいつもは賑わいで溢れている筈なのに人一人いない。
「そういや、お前はデモービルの住民だろ」
「はい、そうです」
「何故、街に人が見当たらない?」
俺の疑問をストレートに言うとデモービルの住民はさっきより真剣な顔をして話し始めた。
「……奴……『ナイトメアヘル』のせいです」
「ナイトメアヘル?」
悪夢と地獄……名前からして魔物で間違いない。
そして、恐らくデモービルの今の状況がゴーストタウンなのもその魔物の仕業だろう。
「ナイトメアヘルは種族関係無しに人々に地獄のような悪夢を見せることが出来る……と思います」
「と思う?」
「被害者の魘され様は悪夢を見ている筈です」
(そのままじゃねぇか)
「そして、未だにその人達は目を覚ましていません」
「だから、街に人がいないのですね」
そのナイトメアヘルを倒さないとデモービルでの食料と衣類補給は勿論、宿に泊まることすら出来ない。
何故こう、いつもいつも俺は厄介事に巻き込まれなければならないのか。
「それはシロウさんの幸運値が3だからです」
「さりげなく心読まないでくれませんかリアラさん」
何度も言っているかもしれないが本当にリアラはエスパーなんじゃないだろうか。一体何度俺の思っていることをドンピシャで当てているんだ。
それより、いつ今の俺のステータスを知ったんだよ。
「この街の周りに霧が出たでしょう?」
「ああ」
「その霧は、ナイトメアヘルを倒せる程の力を持つ者にのみこの場所に案内する為に私が作った魔法です」
「もし、それ以下の力の者だった場合はどうなるんだ?」
「最初にこの霧の中に入ったところへと戻ります。これ以上ナイトメアヘルの被害を増やしたくないので」
なるほど。だからあの霧には魔力が混じっていたのか。
それにしても自作の魔法か……さすがデモービルの住民だな。
「そして、今ここにあなた達が来たということはナイトメアヘルを倒せる相応の力を持っているということ」
そして、次の瞬間女の人は頭を下げて言う。
「お願いします。恐らく奴を倒せば皆目覚めると思うんです!奴を……ナイトメアヘルを倒して、このデモービルの街を救ってください!」
「うーん、ただでっていうのもなー」
「おい」
この真剣な空気をエレナが御礼に拘ることで半分崩れた。
「御礼なら出来る限りならなんでもしますから!」
「なんでもと言われたら仕方がないね!」
「お前なぁ……」
女の人のなんでもという言葉に人一倍に早く反応するエレナ。
お前のその反応速度を戦闘とかもっと違うところでで活用しろよ。
「ま、俺達は元から断る気なんてない。そうだろリアラ?」
「はい、人が困っているのですから断る理由なんてないですよ」
「あ、ありがとうございます!」
デモービルの殆どの住民がナイトメアヘルにやられたとなると今目の前にいるこの女の人の両親や友達も既にやられている可能性が高い。
(そんな人達をほっとける筈がないだろ!)
例え体が変わってその体に適応しようと魂が変化したとしても俺の『困っている人を助ける』というあの時に生まれた気持ちは変わらない。
例えそれが、予想出来ない程危険で死ぬかもしれないことであってもだ。




