漆黒の剣士
今俺達は、討伐のクエストの目的地であるリルス平原にある遺跡に向かっている。
クエストの内容は、デビルスという魔物の五体討伐だ。
デビル、その名の通り種族は悪魔だ。
だが、悪魔と言っても下級悪魔でレベルが15でもパーティを組めば倒せる程度の魔物らしい。
「シロさん、着きましたよ」
「これが目的地の遺跡か……」
それほど古くはない遺跡のようだ。所々欠けている部分があるだけでそれ以外はまだしっかりしている。
「あの……これって本当に遺跡?」
「ギルドの人達が遺跡って呼んでんだ。だからこれは遺跡だ、いいな?」
「は、はい」
何故、俺達がこんな話をしているか。その理由はこの遺跡の見た目が原因だ。
ギルドの人達は遺跡と呼んでいるが、俺達には遺跡ではなく少し傷がついた無人の古城にしか見えない。
——何か……俺の想像してた遺跡とちょっと違う……。
「こんなことを話してないでさっさとクエストを終わらせるか」
「そうですね」
この前のことがあって以来クエストをしながら様子を見ていて、かれこれ四日間が経過したが一向に異変がない。
もうあの町を出てもいいんじゃないだろうか……?
「……今日か明日に異変がなかったらガルメの町から出るか」
そんなことを呟き、遺跡(古城)に入る。
しかし、遺跡に入った瞬間にその考えは俺の頭から消えた。
なぜなら……。
「何……これ…」
エレナはこの光景を見てそう言った。
今俺達が目の当たりにしている光景、それは俺たちの目的だったデビルスの数えきれないほど大量の死体がそこら一帯にある。
それだけじゃない。デビルスの死体に混じって冒険者の死体もある。
「誰がこんなことを……」
「……わかりません。ですけどこれだけはわかります。このデビルスとこの冒険者達を倒した者はとてつもなく強者です」
「あぁ、リアラの言う通りだ。こいつらの傷口はどれも剣で斬られたようなものが一つだけ。つまり、全て一撃だけで致命傷を与えている」
「もしくは、一撃で相手の急所を的確に斬って即死させたかです」
そして、こいつらの傷はまだ新しかった。ということは、この惨状を作った奴ははまだ近くにいる。
「ん?何だこれ?」
死体を調べていると床に赤い血の跡があった。その血は俺達が入ってきた方とは反対側の扉まで続いていた。
間違いない、あの扉の先にこの惨状を作った奴がいる。
「……」
「どうしたんですか?」
「……俺はこの遺跡を探索してくる。でも、二人はこの部屋から出ないでくれ」
「えっ!?どうしてですか!?」
「……ここにはこの数のデビルスと冒険者を殺せるほどの実力を持った奴がいる」
「じゃあ、尚更——」
「危険な目に遭って欲しくないんだ!!」
俺の今の気持ちを言う。この二人には危険な目に遭わせたくない。
もし、どちらか一人が死んでしまったら俺はどうすればいんだ……?
そんなことにはなってほしくない。
「……わかりました」
「リアさん!?」
「それほど強い者がいるのです。もし、味方だとしたら嬉しいですが冒険者と魔物を関係なしに殺しているので敵で間違いないでしょう。それから守りたいというならば、私は言う通りにしましょう」
「リアラ……」
顔を下に俯かせながらリアラは俺に向かって言う。
「でも、これだけは言わせてください……必ず帰って来てください……!」
何か胸騒ぎでもするのか、それとも俺が今からそいつと戦いに行くことに気づいているのかはわからない。
だが、リアラは涙を流しながら俺に『帰って来い』と言った。
「……あぁ、勿論だ!」
そう言って俺は奴がいるであろう扉を開けた。
「……お前か、アレをやったのは」
「……………」
扉を開けるとそこには、待っていたと言わんばかりに剣を下に突き刺して俺とは反対の方向を見ていた漆黒の鎧を身に纏った剣士がいた。
「なぁ、俺と戦わないか?そこで誰を待っているかは知らないが、ただ待ってるよりはいい時間潰しになるだろ?」
「……………」
漆黒の剣士は無言でこちらを向き、刺さっていた剣を抜いて剣先を俺に向けた。
「……さて、やるか……!」
遺跡の一部が僅かに崩れた。そして、それを合図に俺と漆黒の剣士の戦いが始まった。
一撃で致命傷を与えている。
一撃で急所を斬って即死させた。
自分で書いといて思うが、どっちもあまり変わらないような気がする。




