エレナの戦闘能力と欠点
「よし、目的の……えっと……何処だっけ?」
「リルス平原ですよ」
「そうそれ!リルス平原に着いた!」
移動時間の約三十分で俺の精神は無事完全回復を果たした。
そして、今回の目的地のリルス平原にはそこそこ強い魔物が数十種類いるらしい。その内のゴブリンとゴブリンメイジをそれぞれ十体ずつの討伐が今回のクエスト内容だ。
「しかし、こんなに広い平原をどうやって探せばいいんだ?」
「……やっぱり、手当たり次第ですかね?」
「……それしかないか〜」
この世界にはレーダーみたいな機械はないから仕方が無いけど。
都合よく千里眼スキルを持っている人なんて……。
「あの、千里眼スキル持ってますけど……」
……いたわ。
あるかもわからなくて適当に言ってみたが、千里眼スキルを持ってる人がここにいた。
さっきの手当たり次第探すと決めた時のやる気を返してくれ。
それにしても、暗殺者に千里眼か。俺の世界の暗殺者がそれを持っていたら絶対に逃げられないな。
「あ、見つけました!ゴブリンとゴブリンメイジ、それぞれ三体です!」
「え?二種類のゴブリンが同じところにいるのか?」
「はい、運がいいですね。」
俺の幸運値が2だからそんなことを言われてもあまり嬉しくない。と言うか俺には皮肉にしか聞こえない。
「それじゃあ行くか!」
そう言って、俺達はエレナが千里眼で見つけたところに向かった。
その場所に着くと確かにゴブリンとゴブリンメイジが三体ずついた。
いや、別にエレナが嘘をついていたなんて思ってないよ!?
「では、エレナさん。あれは貴方が倒してくれませんか?」
「はい、わかりましたけど……何故私なんですか?」
「私達はまだ貴方の実力を知りません。それではこれからの戦闘で支障が出る可能性があるからです」
「なるほど、わかりました!見ていてくださいよ、私の実力を!」
そう言って、エレナとゴブリン達との戦闘が始まった。
俺は暗殺者を普通の冒険者より俊敏が優れているだけだと思っていたが、エレナは誰もが考えもしない予想外の戦い方をした。
「見えない……」
そう、エレナの動きが速すぎて姿が全く見えない。見えるとしたら二本の赤い光のようなものだけだ。
そして、気が付いたらゴブリンとゴブリンメイジ達は絶命していた。
絶命したゴブリン達を見ると全て急所に攻撃が命中していた。
エレナはあの速さで、ゴブリン達の急所に攻撃を全てピンポイントに命中させたのだ。
こちらに歩いてきた時、俺達が見たエレナの目は赤く光っていた。
その目はまるで、機械が起動した時のような光だった。
「こんな感じですけど、どうですか?」
「「凄すぎて言葉が出ません」」
俺とリアラの感想は全く同じだったようだ。流石にあの動きはリアラにも予想外だったらしい。
この動きが常に出来るのなら、エレナはかなりの戦力になる。
「よし、この調子で——」
バタッ……
急にエレナが倒れた。一体どうしたのだろうか?
まさか、攻撃した時に運悪くゴブリン達の攻撃を受けてしまったのか!?
「……あの、助けてください」
「………え?」
返事があった。どうやら気絶とかでは無いらしい。
じゃあ、一体何が原因なんだ?
「どうしたんですか?」
「……疲れて動けません」
「………は?」
エレナも普通の人間なのだからあんな速さで常に動けるはずがないに決まっている。
俺の世界のスポーツ選手並のスタミナがあったとしてもあの動きは出来ないし、もし出来たとしてもその後の疲れは計り知れないだろう。
「……なんと言うか……燃費が悪いな」
「いつも他の人とパーティを組んで、クエストをした時に言われます」
そりゃ、あんな動きをして終わったら疲れて動けないなんて燃費が悪いと誰もが思うだろう。
あれ?確か、同じように魔法を放ったら魔力切れで動けなくなるという燃費の悪いロリ魔法使いがいたような……。
「はぁ……仕方ない。今日は町に戻るぞ。リアラもそれでいいか?」
「そうですね。この状況では仕方がありません」
ギルドのクエストは一度受けたら達成するかリタイアするまで受注出来る。また明日に出直すとするか。
そして俺達は、ゴブリン達の魔臓を回収した後にガルメに向かった。
魔力切れじゃなくてただのスタミナ切れだから、某爆裂魔のロリッ娘とは違いますよ!




