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第41話

「……ちょっと記憶を整理しよう」


 レイガは一人で寝るには大きなベッドに仰向けになりながら呟いた。

 昨日、レイガは温泉に、最高級の食材をふんだんに使った舌も目も満足させる料理を堪能し、眠りについた。そう、そこまでは覚えている。

 しかし、だ。


「なんで……ハクアが居るん?」


 ハクアを連れ込んだ覚えは無い。

 確かに昨日は酒を飲んだ。もちろん、泥酔などはしていない。


 さらに。

 レイガは服を着て寝たはずだ。にも関わらず、上半身は裸であった。しかも、ハクアは全裸。

 もはや、なにがなんだか分からない状態であった。


「……大丈夫、きっと大丈夫」


 レイガは自分の右腕を抱えているハクアを引きはがすと、何故か脱げている、正確には脱がされた服を着る。


 帝国での生活が始まる。


「の前に、起きろアホハクア!」

「ふにゃ?」












 朝の問題も解決し、レイガは優雅に朝食を摂っていた。十分すぎるほどに考えられた朝食ではあるが、レイガは満足していなかった。別に、不味いとかそういうわけではない。


「米食いたい」


 ただ、ジャポニカ米が食べたいだけである。インディカ米に近いものなら、ある程度の金があれば手に入る。しかし、ジャポニカ米のようなものは竜人の里でしか作られていないのだ。

 それなら、竜人の里へ行けばいいと思うだろう。日本に近い生活をしている彼らのもとへと。しかし、レイガはその場所へは行けないのだ。なぜか。それはレイガが秘めている力に気付かれれば面倒くさいことになるからである。崇められ、留まることを要求されるくらいならまだいい。しかし、一部の者はレイガの二つ名【龍皇】に納得していないため、それが原因で寝首をかかれる可能性もあるのだ。まあ、レイガからしたら大したことではないだろうが。

 まあ、そんなこともあって色々と大変なのだ。





「よく寝れた?」


 レイガは宿のロビーに詩音達が来たのを確認すると、傍らに置いてあった刀を取り、声を掛けた。


「はい。ありがとうございました」


 詩音が礼を言う。


「それは良かった。

 さて、と。ギルドに行こうか。装備は?」

「このバッグに入ってます」

「そっか……って、それ【異空間収納鞄(アイテムボックス)】か。盗まれないように気を付けてね。

 あ、一応これを渡しとく」


 レイガは忠告をし、懐──正確には【深淵神の外套・ジャケットモード】の内側で展開した異空間──から四振りの短剣を取り出し、詩音達に渡した。


「どこか行く時は武装は必須だから、それだけは絶対に持っておくように。それじゃあ行こう」


 そして、レイガたちは出発した。


「レイガ……私も欲しい」

「前に武器あげただろ」
















 数十分後


 冒険者ギルド・ヴェリタス帝国帝都ヴェリタニア支部。

 そこで、一人の男が歴史に残るであろう組織を作ろうとしていた。

 もちろん、レイガである。


「これで、いい?」

「はい。

 では、確認させていただきます。

 クラン名は【世界樹の華ユグドラシル・フェアランシア】。

 クランマスターはレイガ・T・ヴァレンシュタイン様、現在、満15歳。

 銀行のクラン口座はクランマスター及び許可を得た者のみ引き出し可能で、各クエスト報酬の三割を自動入金。

 そして、チーフパーティーは【百華繚乱(イ・ランシア・エスト)】。

 パーティーリーダーは同じくレイガ・T・ヴァレンシュタイン様。

 でよろしいでしょうか?」

「大丈夫です」

「最後にクランエンブレムも此方でよろしいでしょうか」

「はい」

「それでは登録させていただきます」


 こうして、ここヴェリタス帝国で華と比翼、そして剣の紋章を持つクランが誕生した。



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