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第34話

「冒険者……ですか?」


 詩音が聞き返す。


「そう、冒険者。やってみない?」


 レイガは再び詩音達に問いかける。その目は真剣だ。仮にここで断られた場合、レイガは秘密裏に彼女達に護衛を着けなければいけなくなる。それもかなりの強さの者を。まあ、あの装備だけで十分だとは思うが。


「異世界人の君たちが手っ取り早く生活基盤を手に入れるにはそれくらいしか無いし丁度いいと思うんだよね。

 それに……俺もずっとソロっていうのもどうかと思うしね」


 レイガは頬を掻きながら言う。

 実際、ソロの冒険者というのはほぼ存在しない。現在ソロで活動しているのはレイガを含めたSSSランクの冒険者のみだ。その彼らも何か……例えば絶望級と戦うことになってしまった時などはパーティーを組む。他にも後進の育成のために自ら選んだ冒険者と組むなどもある。


「……そういうことなら…私たちで良ければご一緒させてください」


 詩音は咲耶たちを見てからレイガに答えた。


「ありがとう。

 これから、よろしくね」


 レイガは微笑みながら手を差し出す。

 詩音もその手をとる。だが、ここでレイガは彼女たちに爆弾を落としてしまった。


「詩音姉ぇ」

「………」

「あ、やべっ。あ、なんでもないよ!ちょっと故郷の近所のねぇちゃんに似てて他意はないよっ(汗)」


 つい、思わずレイガは地球での呼び名で詩音を呼んでしまったのだ。そして、言っておこう。その理論でいくと現在のレイガの故郷はあの「島」であり、回りに居たのはねぇちゃんというよりおばあ……これ以上はやめておこう。だから首筋に剣を突き付けないでください。


 まあ、とにかく。レイガは然り気無くボロをだしてしまったのだ。


「あ、そ、そうだ!

 パーティー名を決めなきゃ!いや、その前にパーティーにするかクランを作るか決めなきゃね!個人的にはクランのほうがおすすめかな!パーティーを解消してもクランが同じなら連絡もとりやすいし!」


「よ、よし!クランをつくろう!

 そうだなぁ【世界樹の華ユグドラシル・フェアランシア】とかどうかな?【フェアランシア】っていうのは古代龍族語で【華】って意味なんだけど」

「別にいいですけど…」

「よし!次はパーティー名だね!【百花繚乱(イ・ランシア・エスト)】でどうかな?これも古代龍族語なんだけど」

「別にいいですけど…」

「よ、よし!これで決定だね!

 あ、それとそこの装備は君たちにあげるよ!かなりいいもんだと思うよ!」


「え、あの、ちょ」


「よし!それじゃあ街に行こうか!

 あ、そこの人も連れてかないとね!」


 レイガは何かを聞かれる前に話を逸らし続け、そして街へと彼女たちを案内した……


 だが、出したボロは大きすぎた…







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