第28話
ある日、五人の少年少女に一通の手紙が届いた。
それはどこから来たのか、いつからそこに有ったのか。
それは、神のみぞ知ることである。
そして、彼らは自らの可能性を最も活かせる場所へと旅立つのだった(強制的に)。
そこで、色々とおかしな再会があるとも知らずに。
◇◇◇◇◇
ハーフェン王国スカルハ領第三城塞都市【ラッシュブルク】。
レイガは盗賊村の件の二日後にスカルハからこの街にやって来て滞在していた。
既にレイガはこの街の高級住宅地に土地を買い、家を建てた。
さて、レイガがこの街に来た理由だが、簡単に言えば「逃げてきた」である。
レイガは二ヶ月程前からとあるお方にストーカーされている。まあ、予想は付いていると思うが某子爵家のお嬢さんだ。
毎日のようにラブレターが届き、寝ていたらいつの間にか自宅に侵入され、服を脱がされかけ、睡眠薬と媚薬入りのクッキーを差し入れられ……などなど色々とやられていたのだ。
だが、それでも有能なレイガである。ラブレターはともかく、自宅への侵入は魔道具を創って防ぎ、クッキーも次からは口に含んだ瞬間に空間魔法で別空間へと飛ばすなど手慣れた様子で複数の対抗策を講じた。流石弱ヤンデレ性幼馴染みがいた男である。
それならば、なぜ逃げたのかという疑問はあることだろう。理由は簡単である。「疲れた」。まるで結婚3年目の夫婦みたいな感じだが、レイガはその生活に疲れたため、逃亡したのだ。
だったら、領外にしとけよ。という声もあるだろう。だが、声を大にして言いたい。このハーフェン王国にスカルハ領以上に住みやすい場所はないのだ。はっきり言って他の領地や王都は腐敗した街である。
まあ、それは置いておき。
レイガがスカルハ領第三城塞都市【ラッシュブルク】に住み始めた理由は疲れたという理由と他領がアレであるという理由なのだ。
「【狂乱の夕べ】?」
「はい。盗賊団【狂乱の夕べ】です。その盗賊団がトゥガ森林に居るようなんです」
「それを調査しろってこと?
こういう言い方は悪いかもしれないけど…それってDとかCランクの仕事じゃないかな?」
「いえ、三ヶ月前はそうでしたが……今はA~Sランクの依頼となってます」
「ただの盗賊団がそんなに?」
「ただのじゃないんです。
恐らく構成員の殆どがBランク以上の戦闘力を持っています。それに頭のブルネイは…魔術人形を使うらしいです」
「魔術人形?それって夜〇とかの雪〇花シリーズ的なやつ?」
「何を言っているのかはわかりませんが……魔術人形はゴーレムとオートマタを指します」
「まんまマシ〇ドールじゃん……まあ、いいや。俺はそいつらを壊滅させればいいんだな?」
「はい」
「わかった。その依頼受けた」
レイガはそう告げ、トゥガ森林へと向かう。




