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第27話

「ふむ、この状況は何て言えば良いんだろうかね。……四面楚歌かな?」


 レイガは周囲を見渡して呟く。

 見えるのは手に武器を持つ人垣。ただその数は小規模以上中規模未満の村の人口程度はあるだろう。

 それもそのはず。レイガが依頼を受けやって来た村は、数週間前に盗賊によって占拠され、やって来た者を襲う盗賊村になっていたのだから。


「まあ、いいか。君たち全員敵ってことだよね」


「なぁに、ごちゃごちゃ言ってやがんだ!」

「殺しちまえ!」

「行くぞてめぇら!」

「どうせ低ランクのソロだ!」


 レイガが問い掛けると盗賊達は一斉に罵声を浴びせ、襲い掛からんとする。


「あ、言い忘れてたけど俺、一応SSSランクなんだ~。ということで、《圧壊》」


 そんな彼らにレイガはのんびりした口調で自身のランクを教えると圧力魔法を放った。その瞬間、血の花が咲くがレイガからしたらもう見慣れた光景である。


 レイガがSSSランク冒険者となって一週間後のことであった。





 ◇◇◇◇◇


 レイガは漆黒の鷲獅子を駆り、街道を行っていた。いや、正確には街道の上──つまり空を行っていた。盗賊村の処理を終えてスカルハへ帰っている最中である。

 しかし、それにしても【龍皇】が鷲獅子を駆るとは如何なものなのだろうか。まあ、それは今さら気にしても仕方がないだろう。それに、二つ名や通称など幾つも付くものである。その証拠にレイガも最近では【魔剣聖】やら【剣帝】やらと呼ばれ始めている。因みに前者の【魔剣聖】の由来は『魔術(本当は魔法)を使いながら剣も巧みに扱う者』という意味と『美しくも禍々しい魔剣を使う剣の達人』という意味が込められている。美しくも禍々しい魔剣とは漆黒の刀──レイガの愛刀である【仇桜】のことだ。





「ふふーん、とうちゃーく!」


 レイガはスカルハの街の門へ着くと機嫌良く口を開き、冥雅の首筋を撫でた。先程まで盗賊を惨殺してたとは思えないほどに穏やかだ。そして、その様を馬車の中から見ていたスカルハ子爵を寄親とする貴族の令嬢はレイガの美しさにため息をもらす。

 勿論、レイガはそんな事には気づかない。

 そんな風にレイガの異世界生活は時を進める。

 数日後に謎すぎる再会があるとも知らずに。


 まあ、未来のことなんか分からんけどね!












 ◇◇◇◇◇

 〓第3世界日本東京都内某高級ホテルのレストランの個室〓


「はい、来てくれたようだね」


 金髪碧眼の20歳くらいの男──ゼウスが言う。

 彼の座る円卓には他に髭もじゃ(オーディン)、侍系イケメン(イザナギ)、白髪イケメン(シヴァ)、そして……シヴァと同じ白髪の美女が居た。


「ところで、シヴァ。ブラフマーはどうしたんだい?」

「あのジジイなら釈迦と話し込んでたよ。代わりに行ってこいってさ。ふざけやがって」

「それで、結局何の用なんだゼウス。女の居る空間に居るほど怖いものはないんでな、早く用を済ませてくれ」

「ん、ああ。悪い悪い。いやぁ、ヤンデレな奥さんを持つと大変だねぇw」

「後でヘラにゼウスが浮気してたってチクッてやろ」

「わあー、止めてくれ!悪かった!本当に悪かった!……でも、レイガ君はヤンデレ好きらしいよ」

「「「まっっっじで!?」」」


「そんな話より、さっさと本題の話をしてくれませんか」


 野郎共が下らない話をしていると白髪美女が凛とした声で本題を話すように促した。


「ねぇ、シヴァ。なんかア〇サちゃんっぽくなかった?」

「確かに。なんか初期の方のツンツンアリ〇っぽかった」

「儂、アリサちゃんよりシ〇ルの方が好きじゃの」

「俺は……ひぃっ!?」

「「「どうした!?」」」

「イザナミが…『私だよね』って…」

「こわっ!」

「二次元すら許されないのかよ」

「ヤバイ嫁さんじゃの」

「まあ、イザナギのヤンデレ嫁は置いといて。本題にいこうか」


 ゼウスは円卓に座る者たちを見回し、そして口を開いた。


「それではいきます。

『第3世界のイレギュラー多すぎ問題ー!』」

「わーわー」


「はい。

 先ずねぇ、あのレイガ君の友達のお姫様のシルヴィア・シー・アレグリアちゃん居るじゃん」

「居るのう」

「居るな」

「あー、居たねぇ。イザナミに監禁されててほぼ見れてないけど」

「あの子さぁ、この世界では有り得ないくらいに魔術使えるじゃん。冒険者で言えばCランク程度に。あのまま成長されるとこの世界が壊れんだよね」

「やべぇじゃん」

「んで、次にレイガ君のおじいさんの友達の孫、要するにレイガ君の幼なじみの皇城(すめらぎ)詩音(しおん)ちゃん居るじゃん」

「居るねぇ」

「彼女もお姫様と同じくらいに魔術使えるじゃん」

「確か二人合わせて『双天の魔姫』って呼ばれてるな」

「そんで、次にレイガ君のクラスメイトの佐倉さんとその友達の御巫ちゃん」

「あーね」

「つーか、レイガの回りイレギュラーすぎるだろ」

「で、最後にあのゴミクズ」

「あー、井出落(いでおち)(ひかる)な」

「アイツ、イレギュラーか?」

「そうだろ、魂ゴミだったぞ」

「他の皆は魂凄かったけどな」

「で、結局それがなんだよ」

「うん、それはね…「どうせ、異世界に送る気じゃろう。確かにこの世界は魂の許容範囲が小さいからの。他の世界なら大丈夫じゃからな」台詞取んないでよー!」

「なるほど。それでリディアか」


 シヴァが白髪美女を見る。


「うん。魂っつのは知っての通り世界によって規格が違う。大きすぎても小さすぎてもダメなんだよ。それで彼らはこの世界だと合わないけど他の世界なら大丈夫。なら何処にって考えたら…「レイガの居るところだな」イザナギまでー!?……まあ、良いよ。あのゴミクズは別として彼女達は皆レイガ君に会いたがってるからね。僕たちが会わせる訳にはいかないから少しでも手助けになるようにってね」

「なるほど。でも少しは支援しないと可哀想だぞ」

「そうだね。リディア、どれくらいなら彼らに支援を与えていい?」

「……各々の適性武器とポーション数本、それと数日分の食料とお金ですね」

「OK。なら、それで行こう」

「加護や能力の底上げは良いのか?」

「少しなら構いません」

「よし分かった」


 こうして神々の会議は続き、彼女らに与えられる支援は決定した。


 以下がそうである。


 シルヴィア・シー・アレグリア……魔術系の神々の加護(全基本属性魔術適性)全ステータス100上昇、異世界言語理解スキル付与、短杖、ローブ(紺)、その他


 皇城詩音……魔術系の神々の加護(全基本属性魔術適性)、全ステータス80上昇、剣術レベル1上昇、異世界言語理解スキル付与、細剣(レイピア)(魔術発動補助機能付き)、マント(黒)、その他


 佐倉ほのか……治癒神の加護(回復魔術の効果上昇)、全ステータス120上昇、基本3属性魔術適性、付与魔術適性、異世界言語理解スキル付与、長杖、ローブ(白)、その他


 御巫咲耶……武神達の加護(武術スキル成長率上昇、身体強化スキル&魔術効果上昇、武器のみ鑑定可能さらに通常以上に詳しく鑑定可能)、基本4属性魔術適性、【刻眼】開眼、全ステータス50上昇、異世界言語理解スキル付与、刀(魔術発動補助機能付き)、軽部分革鎧、その他


 井出落輝……神々の呪い(ジョブ【蛮勇者】強制取得他)、全ステータス1上昇、剣、鎧、異世界言語理解スキル付与、その他


「それで、どうやって皆を異世界につれていくんだ?」

「それはほら、あれだよあれ。問〇児シリーズ的なお手紙でだよ」


 そして、翌日。

 五人の男女がこの世界から消えた。





 ▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲

 ジョブ【蛮勇者】


 愚かな者のみが就けるジョブ。

 その力はレベル1の時点では強力だがレベル25を越えると可哀想なくらいに弱くなるが今までのステータス貯金でまだ強いまま居られる。しかし、レベル30になるとレベルアップ時のステータス上昇が無くなる。

 そして、必ず周囲に迷惑を掛ける。

 また、本人には【勇者】と表示される。さらに、全世界で最も嫌われるジョブであり、迫害を受ける可能性が高い。


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