第26話
「うん、やり過ぎた」
レイガは目の前の惨状を見て呟く。
見渡す限りの屍の山、鮮血の池。そして、巨大なクレーター。某龍玉でしか見られないような光景がレイガの目の前に広がっていた。だが、一部はそんな事は無いようだ。クリンクのパーティーメンバーの居る場所だけは。
「流石に龍化する意味は無かったなぁ。久々にしたくなっただけでするのはもう止めよう。うん、そうしよう」
レイガは猛省する。久々に龍になりたかったという理由だけでこんな事になったのだ。それは反省しなければならないだろう。どっかの神皇はしなそうだが。
「それにしても血が付いたままなんだよなぁ」
「なんっじゃこりゃあああああああ!!!!!」
レイガが自らに付着したモンスターの血にうんざりしていると不意にそんな声が聞こえた。いや、不意にでは無いかも知れない。レイガは多くの生物が近付いてくるのに気づいていたのだから。
「何って……大量虐殺現場だよなぁ」
レイガは低めのテンションでその声に答えるように呟く。そんなレイガの足下には死体が埋まっている……ではなく、カイザーオークが無様に骸を晒していた。まあ、強ち最初の表現でも間違っているわけではないのだが。
「あ!レイガ!これ何だよ!」
レイガに気付いたクリンクが近くに寄って問い掛ける。
レイガは力無く笑いながらその問いに答える。
「何って…レイガくんの足下には死体が埋まっている状態ですよ」
「見りゃわかるわ!んなもん!何が有ったんだってことだよ!」
「俺がやりました……龍化する意味は無かったです…はい」
「何で龍化したし!」
「なんか、したくなっちゃったから」
「そんな【ムラムラしてパコっちゃった】みたい風に言うんじゃねええええええ!!!」
クリンクは魂の叫びを上げる。
一方その頃他の冒険者達は……
「何があったん?」
「レイガが切り刻んで魔術使って龍化したんよ」
「すごかったぜ、本当に。これ全部あいつが殺ったんだぜ」
「そりゃ、すげえな」
「あれはまさに龍の王って感じだったぜ」
「いや、荒れ狂う龍だろ。【荒龍】だな【荒龍】!」
クリンクのパーティーメンバーに話を聞いていた。
そして、ここでの会話によりレイガの二つ名が浸透する。
そして、この十数分後。
レイガはモンスターの素材を回収し、全員で街へ帰還することとなる。
そして、その翌日。
レイガがヨハンにやりすぎだと怒られるのは当然のことであり、さらに数日後。SSSランク昇進への打診がレイガに届くこととなる。そして、レイガはこれを受け、リンドウと共にギルドの全大陸統括本部へ各支部にあるアーティファクトを使用し向かった。そこでのSSランク冒険者3人、SSSランク冒険者1人との模擬戦を行い、全てに勝利。およそ十日後に現在存在する3人目のSSSランク冒険者と認められることとなった。




