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第25話

 〓サイド・スカルハ市〓


「いや、なんて言ったらいいんだろうな?」

「これは……魔道具のスゴさに驚くべきか、レイガがこんな物を持っていてそれを此方に捨てるかの様に渡したことに驚くべきか」

「これ…戦争に使われたらヤバイぞ」


 レイガが戦場に到着する凡そ五分前。冒険者ギルドスカルハ支部長室では支部長のリンドウ、Aランク冒険者クリンクがレイガに渡された【遠見の水晶】を使用してゴブリン達の巣を見ていた。水晶には隙間が殆ど見えない程にモンスターが映っている。


「……これ、どうする?」

「いや、行くしかないでしょう支部長。けど報酬をどうするのか」

「こういうのって領主から緊急依頼が出されるよな」


「呼んだ?」


「「!?」」


 二人が話している最中不意に声が聞こえる。

 高い戦闘力を持つ二人がビクゥ!というのが正しいほどに驚く。そして、声のした方に居たのは領主であるスカルハ子爵──ヨハンだった。しかし、領主が元高ランク冒険者と現高ランク冒険者に気取られない程の隠行を行うとは驚きである。

 まあ、若かりし時の彼が──元Sランク冒険者(しかもSSに到達するとまで言われた)【影剣(シャドウセイバー)】だと知れば誰もが納得するだろうが。それにしてもあのナリして【影剣】とは……意外すぎる。


「!?これは……

 よし、ギルドに依頼をだそう。勿論、緊急依頼だ。報酬は一人15000CR──但し、それは戦闘参加が5分を超えた場合。もし超えなければ一人1500CRだ」

「は?」


 二人が驚いている間にヨハンは水晶に映る光景を見て、告げる。


「聞いてなかったのか?ギルドに依頼を出すんだ」

「いや、それは聞いていたが……報酬が……」


 再び告げるヨハンにリンドウは口ごもりながら言う。

 ヨハンは不思議そうな顔をして


「何か問題があるか?そこには既に彼が行っているんだろ?ならそんくらいで構わないじゃないか。戦闘が無ければただの散歩なんだから」


 と、自身の考えを述べた。


「まあ、確かにそうだが…」

「それに……分かってるんだろ?行かなくても大丈夫だと」

「……俺一人で十分な相手だしな」

「なあ、本気で何があったんだ?」

「……あそこは地獄だった…いや、地獄すらも生温かった。それたけだ…」


 そして、この15分後、冒険者達はギルドを出発し、巣へ向かう。


 彼らがそこで見るのは英雄かそれとも地獄絵図か。








 〓レイガ〓


「撃ち抜け…《雷霆(らいてい)》」


 激しい雷鳴を轟かせ、宙に浮かび上がった魔法陣(但し、特に意味はない。ただの演出)から雷が迸り、モンスター達の頭を、体を貫き、破壊し、燃やしていく。


「錬金術を極めてできる変質……《変換》」


 レイガが手を地面に付き、呟く。


「《地刃》」


 地面が浮き上がり、モンスターを裂き、貫く。しかし、様子がおかしい。それは……刃となった地面のせいである。レイガが錬金術により土を《変質》させた為、土の地面が変化したのだ。


「《変質解除》」


 再び呟く。すると、先程まで金属のような色をしていた地面の刃が土へと変わる。いや、この場合は戻ると言ったほうが適切か。


「続いて、《龍皇神顕現》」


 さらに呟く。

 そして、次の瞬間閃光が迸り、光が収まったとき……そこには黒き(ドラゴン)が居た。言わずもがなレイガである。

 《龍皇神顕現》──これの効果はレイガが龍と成るというものだ。簡単に言えば竜人族の《竜化》と同じである。


「■■■■■■■ーーーーーッ!!」


 龍が吼える。

 それだけで周囲のモンスターが爆ぜる。


「▲▲▲▲▲▲▲▲ーーーーーーッ!!」


 龍がその顎門を開き、口許に魔力であり、魔力でない物を収縮する。そして、それを撃ち出す。──ドラゴンブレス。龍の代名詞と言える攻撃がモンスターを直撃し、抵抗する間もなく、圧倒的な熱量と力でモンスターを粉々にし、蒸発させる。


 その後も、龍による殺戮は続く。


 一分後。

 モンスターは全てが骸となり、無様な姿を曝していた。



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