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第24話

 曇天を切り裂くように黒い物体が飛行している。──烏ではない。モンスターでもない。


 その黒い物体は森の上空で静止する。











「うへぇ、気持ちわりぃくらいに居るなぁ。しかも黒個体までいるじゃん」


 黒い物体──レイガは眼下に広がるモンスターの群れを見て呟く。そして、素早く視線を走らせ、目当ての人物達を探す。それはすぐに終了する。


「見つけた。

 ───突撃!ファミコ〇ウォーズ!」


 そんな叫びとともにレイガは羽ばたき、一気に加速。そして急降下する。


「みんなぁ!生きてるかぁ!」


 ドガァン


 目当ての人物達。

 つまりクリンクの仲間達の前に着地したレイガは問い掛ける。しかし、答えはない。それもそのはず。問い掛けられた彼らの様子を一言であらわすなら「ポカーン」であるからだ。全員が口を開いて「は……え?」みたいになっている。それどころかゴブリン達もいきなり空から降ってきたレイガを見て(゜д゜)?みたいになっている。


「助けに来たぜ!」

「お、おう?」

「よし!危険だからこの結界の中に入ってろよ《不壊にして不滅の結界(イモータリーバリア)》。あと、このポーション使って回復してくれ」

「え、ちょ待てよ!」

「バイビー」


 呆けているクリンクの仲間を結界に閉じ込め、ポーションを中へ転送させると、ろくに話も聞かず、レイガは飛び出した。


「行くぞ、帝神明流《取り敢えず斬られろ》!」


「なんか適当!?」


 飛び出したレイガは神々の勧めで創った流派の基本をゴブリン達に喰らわせる。もちろん、ゴブリン達は見事に切り刻まれるのだが、クリンクの仲間から見事なツッコミが入る。


「オラオラオラ!どうしたぁ!《獄焔》!」


「なぁ、アイツ闘気使いながら魔術撃ってんぞ」

「放出系の魔術って闘気使いながらできたっけ?」

「無理だろ、普通」

「でもアイツやってるぞ」


 クリンクの仲間達は結界のなかで呑気にレイガの戦いを見て議論をしている。

 ここで『気』というものについて説明しようと思う。

『気』とはジョブや厳しい鍛練によって扱うことのできる魔力のようなものだ。身体中にあるような魔力とは違い、使用時には丹田で練り、汲み上げ、全身や部位に行き渡らせる必要がある。また、彼らが言っているように『気』を使いながらだと放出系魔術──つまり、殆どの攻撃魔術を使用できない。そして、同時に自分自身による身体強化系魔術も使用しにくくなる。また、スキル【魔力身体強化】は普通に使える為、『気』と【魔力身体強化】、身体強化系魔術を上手く扱えれば超一流となる。そして、極々稀に就ける【魔戦士】や、【神聖騎士】になると簡単な攻撃魔術を使用できる。それがジョブに就く恩恵だ。まあ、レイガの場合はジョブなんか関係無いが。


 では次に『気』の種類について説明しよう。

『気』は大きく分けると三つしか種類はない。

【闘気】【合成気】【固有気】だ。

【闘気】は先程述べたようにジョブや厳しい鍛練によって扱うことのできるもので、使う武器によっては固有の気を扱えるようになる。例えば剣を使っていれば【剣気】が使えるようになる。

 次に【固有気】。

 これは種族固有のもので、極稀に使用できるかもしれないというレアなものだ。例えば龍族の【龍気】などである。

 最後に【合成気】。

 これは殆ど知られていないものである。

 効果は名前の通り、『気』の合成である。しかし、この【合成気】の真骨頂はこれだけではない。

 種類としては考えられない四つ目の『気』である【昇気】を使用してこその【合成気】なのだ。

【昇気】は『気』を練って練ってこねくりまわして『気』を昇華させる。例として述べるならば【闘気】を練りまくって昇華させると、【戦気】となる。というようなものだ。

 これが『気』である。

 最後に余談だが、かつてある勇者が「魔力も練ってみたら合成できんじゃね?」という思い付きで魔力を練って戦気と合成したところ【神気】というとてつもない物を生み出した。あまりの力に勇者は完全には制御出来ずその後直ぐに死んだが。それと、【神気】は神族の固有気とは全く関係ない。


 また、現在レイガが使っているのは【闘気】ではなく【戦気】でもない。

 本邦初公開の【神気】と【龍気】、神族固有【神威】、【刀気】そして、レイガの固有気【皇気】と【龍皇神気】と【刀皇神気】を合成した【帝気】である。

 何がなんだかわからない。











「千の〇勢!」


 レイガが歌いながら刀を振る。仇桜の薄い漆黒の刀身に触れたモンスターはレイガの手に全く抵抗を感じさせず切り裂かれ絶命する。


「万〇信念!」


 レイガは現在緋色のオーラの様な【帝気】と銀のオーラを纏っている。さらに美しい銀と黒の髪はモンスターの血によって紅く染まり、顔に付いた返り血がどこか背徳的な美しさをもたらしている。


「渦〇く戦地へ!」


 レイガは刀を左手で逆手に持ち、モンスターの間を高速で駆け抜ける。

 一瞬の間……モンスターの身体は切り裂かれ、ゴロゴロと首が落ちる。


「ブヒィ!」


 立ち止まったレイガにオークが背後から棍棒を降り下ろさんとする。


 パァン!


 しかし、そんな乾いた音とともにオークは血の華を咲かせ絶命する。

 レイガの右手にはリボルバー拳銃が握られている。M1873──ピースメーカーの通称を持つコルト・シングルアクションアーミーだ。

 レイガはそれを変則的な持ち方で銃口を後方へ向け、発砲したのだ。


「最果〇の空を!」


 レイガはピースメーカーをホルスターに戻すと、刀を上に投げた。そして、直ぐにピースメーカーをドロウし、一瞬にして残りの五発を撃ちきる。


「来い!【黒燕】」


 そして、左手に新たな銃を召喚する。

【黒燕】の形はH&KMP5。


「《変形(トランス)》!【黒烏/モード・SMG/フォルム・MP5】」


 レイガは早口で詞によってピースメーカー──【黒烏】を変形させる。形はこちらも【黒燕】と同じくMP5。


「凪ぐま〇は!」


 レイガは再び口ずさみながら銃を持つ両腕を上げてその場で回転しながら発砲する。

 通常なら対して協力とも言えないような9mmパラベラム弾もレイガによって創られた為、いとも簡単に上位種である黒個体の頭を粉砕する。


「《リロード》」


 レイガの詞と共に弾倉に弾が入れられる。

 そして、再びモンスター達は脳ミソを撒き散らし、紅き血の華を咲かせることとなる。


「戻れ【黒燕】、【黒烏】」


 レイガは再び早口で呟く。すると、黒燕は消え、黒烏はピースメーカーへと形を戻してホルスターへ収まった状態となった。


 レイガは先程放り投げた刀をキャッチする。

 そして、駆け出した。



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